第93話 出発前

 翌朝、いち早く起き、平地の滑走路紛いの平野を見渡す。


 親書良し、辞典良し、蜂蜜やチーズの類はエルフがくれた魔法の小袋の中に全部収容出来た。


 さすが高度な魔法文明。四次元ポケットに近いものが作れるとは。


 ひょっとしたらこの世界の総合軍事力って僕らの世界とそんな変わりないのかも。


 そう思い、ベルトに巻き付ける。盗まれない為に上着を更にはおる。


 準備万端だ。


 スペースシャトルに仲間が乗り込んでいく。


 村人は不思議そうに船をながめている。


「ありゃ、何だべ?」


「何でもウリエル様がお出しになさった天を飛ぶ鳥だそうな」


「ありがたやありがたや。ほんに天使様を見れる日がくっとはなあ」


 不思議なスペースシャトルだ。普通は打ち上げロケットに付随する形で発射される筈なのに。航空機と同様に滑走路から離脱出来る様子だ。


「ファルマコ、行くよー」


 ウリエルがフライト席に乗り込み、僕も乗り込む。


 うーん、実物を見たことがないから判らないけど、多分僕らの文明水準を大幅に越えた機内っぽい。人口知能が全ての操作をやる技術はまだ開発されていない筈だった様な。


 やれたとしても米国か中華位なものだ。


 しかも外観も驚いた。光沢が輝いていて全然スペースシャトルっぽくない。何か洗練された機体だった。

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