第92話 造物主も無自覚だった僕の源

「上?」


「ファルマコ、お化け屋敷とかは怖くない?」


「いいや、全く」


 あんな紛い物のどこが怖いのか良く分からない。周りの女性達は怖がっていたが、僕にとってはジェットコースターの方が数百倍怖い。


「神様とかも怖い時ある」


「う、うん。一応は」


「つまり、じぶんのちからがおよばないものはこわいんだ」


「力が及ばない?」


「うん、そう。ファルマコってわるいことするとなにか嫌な予感とかするよね?」


「まあ、確かに」


「ファルマコが聖書に詳しい理由がわかったのー」


「え、どういうこと?」


「知恵の初めはおそれなのー。神様をおそれて初めて知恵が湧いてくるのー」


「ふうん、僕の知識の源泉はおそれから来ているのか……『創り主』はそこまで教えなかったなあ」


「たぶん、本人もいまいちむじかくなのー」


「ふうん、そんなものかねえ。まあ、良いや。練習を始めよう」


「てきどにねー。ねることも大切だよー」


「まあ、せめて新婚旅行を台無しにしない程度にさ」


「おお、やる気だねー」


 結局今日は辞典を見れなかった。

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