第87話 結婚式の進め方を忘れたので

「これより婚姻の儀を執り行う」


 一同歓声を挙げる。


 なーに、何なの、この状況。ホ-リー・ジーザス、いつから僕は教職者になったというのですか? あるいは聖職者なのですか? 


 目の前にいるアーサーの方が落ち着き払っているから情けない。


「新婦の入場を」


 ワッと歓声が瞬く間に挙がる。側近二人がベールを持って後ろから付いてきていた。


 ふーん、この世界にもウェディングドレスみたいなのはあるのか。


 アーサーが手を差し出す。


 おお、凄いな。男だな。ちゃんとエスコートする気満々だ。


 二人揃って僕の前に立つ。


「二人に尋ねます。新郎、いついかなる時も愛し、病の時も支え、生涯の伴侶となることを誓いますか?」


「はい、誓います」


「では、新婦に尋ねます。同じように新郎を愛し、病の時も支え、生涯の伴侶となることを誓いますか?」


 うーん、本物の結婚式なんて数える位しか参加していない。ましてや教会婚に参加したのは十年以上前だ。この方式だとローマ式だ。


「はい、誓います」


「では、両人の指輪の交換を」


 二人は照れ臭そうに指輪を交換する。


 青いな、青すぎるわ。僕には程遠い世界に感じられた。


「では、両人とも誓いの接吻を」


「「え?」」

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