第86話 結婚式準備で大慌て

「ウリエルさん、頼むよ」


「ダイジョーブ、スペースシャトル出すからねー」


 一同の視線が僕に集中する。


 いやいや、無理だって。装甲車すら辛かったのに。スペースシャトルなんて乗りこなせる訳ないじゃん! 絶対死ぬって!


 スペースシャトルがどんなものか知らない皆には関係ない様で僕独りだけが右往左往している。


「いや、さすがにスペースシャトルの運転は」


「ダイジョーブ、今日はくんれんするよー。明日早いからみんな寝よー」


「あのう、師匠、例の件は……」


「あ、ああ、うん。もちろん」


「何の話じゃ」


 ギムリ王が尋ねてくる。事情を話すとギムリ王は大層喜んだ。


「こうしてはおれん。皆の衆、酒樽をもってこい! 今宵は祝宴だ。のう! アラゴン、お主も参加するじゃろ!」


「やれやれ、ドワーフは本当に宴会好きだな。我々エルフは貴族を招いて祝うとするか。滅多にない機会だ。本家本元のクリストティノスの儀礼を観れるとは」


 集落に戻ると村の人々は歓迎状態。初めて見るエルフやドワーフとも気兼ねなく話している。


「リリウムちゃん、リリウムちゃん、こっちで着替えるからおいで」


「ささ、アダムの末裔様は祭司服を着て下せえ」


「婿はしっかり紳士服を着るだよ」


 村の人々に連れまわされながら大急ぎで準備をする。


 ウリエルは気を利かせて豪勢な料理を創造する。


 ドワーフは今か今かと酒飲みの機会を待っている。


 うわー、祭司服って古代イスラエルの大祭司の服じゃん。こんな高いもん着て大丈夫なのかなあ。


 準備が整うと皆が皆祭司の声を待ちわびる。

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