第85話 近道ないのかな?

「師匠、良かったのですか? あの人達の相手は師匠の方が良かったんじゃ……」


「大丈夫。君が適任だった」


 僕だったら瞬殺されていただろう。適材適所と言うものがある。


「時にアラゴン王にお訊ねしても?」


「構いません。アダムの末裔様」


 切り換えの速い王だ。賢君なのだろう。


「高度な魔法文明を有すると仰いましたが、この大陸の幾つかの地点に入り口を設けているとみなして良いでしょうか? たとえば、王国の領土内など」


 彼らの技術を借りれば王国まで馬車旅をしなくて済む。


「残念ながら……」


「そうか、そうだよね。敵対国の領土に入り口を設ける愚策は犯さないか。では、アラゴン王、ギムリ王にお頼みを。グノーシス卿はご存知ですか?」


「彼はエルフもドワーフも一目置く賢者です」


「なら丁度良かった。今、大学都市は軍を再編成しています。あなた方も軍をまとめ次第、グノーシス卿と合流して下さい。その間、僕達は王国に同盟の申し込みをしに行きます」


 多分、これで間に合わせるしかない。後の頼みはウリエルがどれだけ速い車を出してくれるかどうかだ。

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