第84話 アーサーの実力

「良いのですか? 師匠? 僕なんかに任せてしまって」


「君はもう少し自分に自信を持ちなさい。君は僕より優れている。特に武芸に至ってはね」


「では」


 アーサーが構える。


 エルフはすかさず氷の矢を数十形成し、ドワーフは巨大な斧を振りかぶった。


 アーサーはまずドワーフに狙いを定め、拳を繰り出した。カウンターの形で心臓を叩いた。


 これで身体の機能は一時麻痺する筈。次の瞬間、縮地でエルフの間合いに入り、拳で顎を軽く揺らした。エルフも一時麻痺。


 さて、決着はもう誰でも判る。


「お判りですね。あなたがたが勝てないなら我が一番弟子を打ち負かした後の死の王を止められる道理もなく、あなたがたは滅びるだけです。これで分からないなら勝手に自滅して下さい」


「……承知しました」


「……まあ、勝ったもんが言うからにはなあ」


 二人とも不承不承ながらも現状を正しく理解して納得はしてくれた様子だ。


 ああ、良かった。これで逆切れでもされようならどうしようかと思った。あんまりアダムの末裔の権威を振りかざすのって良くない気もするし。


 かと言ってウリエルに任せていたら国そのものを滅ぼしちゃいそうだし。


 それにしてもアーサーは強いなあ。リリウムより強い。本気出したら大岩位砕いたりしてね。

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