第83話 あまり乗り気ではない王達
コホンと咳払いをし、仰々しく語る。
「我、アダムの末裔なり。汝らエルフ、ドワーフの王と交渉の場を持てり。速やかに出て来るべし。又、汝らの大恩ありしみ使いウリエルも顕現されたし。この言葉を無視するなら汝らを忘恩の徒とし、神の御前に訴えん」
「何だか向こうが大騒ぎになっているみたいですが」
「気分的に最悪だろうね。お互いに」
やがて時空の穴から仰々しく二人の男性が側近を伴って出て来た。
「お初にお目にかかります。私はエルフの王アラゴンと申します。王の指揮者と意味する名です」
「わしあ、ギムリじゃ。ドワーフの王をやっとる」
え? ギムリ? 指輪物語の人物じゃないか。アラゴンはアラゴン王家と何か関係あるのだろうか?
「いやいや、すみません。手っ取り早く話を進める為、天使の威光を使わせて頂きました。まずは非礼を詫びます。それで僕達の状況をどれ位掴んでいらっしゃいますか?」
「死の王ですね。おおよそは」
「それでは同盟は結んで頂けますか?」
「ゴブリンを救う為に、ですか?」
「乗り気じゃないわい」
王は二人とも疑問を持っている様子だ。
「死の王はいまだソドムを滅ぼす程度の力に留まりますが、いずれ世界をも滅ぼす可能性がある。その時、エルフ、ドワーフが結託しても遅いのですよ」
「我々は非力なコボルトや数だけが頼りのゴブリンとは違い、強大な魔法文明を有しています」
「わしらも王国の様な未熟な治金技術をもっとる訳じゃないわい。戦士も大勢おる」
「なるほど、では」
アーサーを見やって宣言する。
「我が一番弟子を倒して証明して頂きたいですね」
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