第77話 村の特産・冷やし蜂蜜
「おお、コボルト族を救った英傑ウリエル様でえしたか! これはこれは気がきかねえもので。早速村特産の蜂蜜を召し上がって下せえな」
「わーい」
餌付けされているよ。それで良いのか?
こちらにも蜂蜜を差し出された。礼を言い口に含むと芳醇な香りと共に滑らかな甘みが舌を堪能させた。
何だろう? 今までで一番良い蜂蜜かも知れない。
このひんやりした感覚は何だろう? この世界に冷蔵庫はない筈だが。
「おんや、アダムの末裔様? 早速この蜂蜜のことにお気づきなさるとはさすが。冷やし蜂蜜は初めてですかな?」
「ええ、どうやって冷やしているのですか?」
ご年配の女性は手招きをしてすぐ近くの洞窟まで案内する。
入ってみると涼しい。せせらぎの音も聞こえてくる。冷えた洞窟内を川が流れている。
川の水面に甕があり、紐でしっかり固定されている。
なるほど、これで冷やしているのか。
「なるほど、だから水飴のように固めでひんやりしている訳ですか」
「おや、水飴は希少なのに食べてことがあるのけえ?」
「僕達の世界ではサトウキビが栽培されているもので」
「はあー、また凄いものを育てているもんですなあ」
ウリエルはよだれを垂らしそうになっている。
「ウリエルさん、よだれ」
本人も気付いて居住まいを正したが、やはり冷やし蜂蜜には弱いか。
「伝承通りですなあ。ウリエル様がこの里の蜂蜜をご愛用されたと言うのは」
五百年もここを訪れた訳か。
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