第78話 岩の賢者ペテロ

「早速ですが、岩の賢者様にお会い出来ませんか?」


「ペテロ老にお会いしたいのですか? そんなら早速案内するだよ」


 ペテロか。僕達の世界では初代ローマ教皇にして初代教会の長。使徒の長でもある。天国の鍵を神より与えられし者。聖人は聖人でも桁外れの聖人だ。


 聖典に直接出て来る人物だ。ペテロはケファと言う神より与えられた名がある。それは岩と言う意味だ。つまり教会の土台にして堅固なる守護者と言う象徴。


 そんな名だから少し気後れしてしまう。


 いかめしい口調の岩なのだろうか。


「ペテロ老。アダムの末裔様がご来客なさいました」


 ひと際、大きな岩に話しかける女性。集落の中央に飾ってある岩。岩が直接脳内に声が届いた。


(ここ最近アダムの末裔がこの世界に来訪しているのが、気になりますか?)


「人の心を読めるのですか?」


(いえいえ、単純な経験則です)


 この穏やかな口調にして秘密裡に会話を進めようとする姿勢。


 何か聴かれて不味いこともあるとみた。


「まず確認を」

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