第64話 ウリエルさんは知っていた

「ファルマコはきづくのがおそいねー」


「エッ、知っていたの?」


「うん」


 そうか、なら話は早い。


「僕はどうすれば良いんだろう?」


「かんたんだよう。あたたかい眼でみまもるの」


「そ、それで良いの?」


「あいしあうのは神様がさだめたことだよ。わるいことじゃないよー」


「う、うーん、そうか」


 確かに教会博士のアウグスティヌスも似た様なことを言っていたなあ。交配するのは悪いことではない。子作りは神の与えた能力であると。


「二人が銀の指輪をかくしながら大事にもっているのしってる?」


「それは知らなかったなあ。ということは極秘裏で婚姻でも挙げたのかな?」


「たぶんねー」


 そうか、もう夫婦なのか。ならアーサーは堂々と報告してくる日がある筈だ。自分がしっかり心の準備をしなければ駄目だなあ。


「よし、アーサーからの告白を待とう。師匠なら祝福してあげなきゃだね」


「そーそー、そのいき」

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