第63話 奇跡の原理

 厨房を横切るとウリエルが蜂蜜のチーズ焼きを次々と食べていた。


「そんなに食べたら太るよ」


「ダイジョーブ。奇跡おこすエネルギーにくらべたらちいさいよ」


「ふーん、奇跡ってそんなエネルギーを食う代物なんだ?」


「太陽のエネルギーくらいつかっちゃうからねー」


 案外コスパ悪いな。装甲車とか軽トラ出すのにいちいち太陽並みの力を使っていたら代償に合わない。


「無からつくりだすのが奇跡だからねー」


「無? 周りの物質を消費しないの?」


「そうしたらかがくだよう」


 なるほど、確かにそうだ。奇跡と呼ばれるからにはそれに相応しい創造の仕方があるということだ。


 コスパの考え方は改めた方が良さそうだ。多分、かなり効率の良い。


 ウリエルにアーサー達のことを伝えるか迷っている自分がいる。まあ、察しているのだろうけど、中々話題にしづらい。


「あー、ウリエルさん。これは独り言だから聞き流しても大丈夫だけど。あるところに師匠と弟子がいました。二人は仲間達と一緒に旅をしていました。だけど、師匠はある日気付いてしまったのです。弟子と仲間が恋仲になっていることに。しかも関係はかなり進んでいます。もしかしたら子供も生まれるかも知れません。さて、師匠はどうすれば良いのでしょうか?」

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