第62話 恋仲以上?

 郊外にある温泉宿は見た目こそ小さな宿だが、ひのきを使っている建物で心地よかった。


「ふう、まさか温泉に入れるなんて」


 一人でぶらぶら歩いているとアーサーとリリウムが腰掛に座っていて話しているのがチラリと見えてしまった。


 何か変だな。密着し過ぎているというか。


 思わず身を隠してしまったが、僕は何でこんなことをしているんだ?


 二人は表情を赤らめて唇を重ねてしまっているのを目撃してしまった。アーサーは手をリリウムの腰にまわす。これからする行為は。


 アーサー、凄いね。やり手だね。まあ、同族同士が少ない世界だからすぐくっつくことを予想すべきだったか。


 来た道を戻ってもう一度温泉に入りに行く。今度、アーサーに会ったら何て言えば良いのだろう? おめでとう? いや、何か違うな。


 師匠面して「結婚するまでちゃんと避妊はする様に」とか言うのもおかしい気がする。僕、アーサーのお父さんでもないしなあ。


 でも、まあ、喜ばしいことなんじゃないかな。子供が出来ても祝福してあげよう。

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