第61話 新しい依頼

「お祖母ちゃんは学長が切符を持っているみたいなことを言っていましたよ」


「ああ、確かに持っとる。じゃが、代わりと言っては何だが」


「分かりましたよ。依頼を引き受ければ良いのでしょう?」


「話が早くて助かるわい」


 賢老は懐から小さな玉を取り出した。虹色に輝くその玉は綺麗な印象を与えるものだった。


「平和の象徴ですかね?」


 そう訊ねると賢老は笑った。


「流石は本家本元のクリストティノスじゃな。神の知識をしっかり蓄えておるわい」


 虹はノアの物語で最後に出て来るものだ。神が再び洪水で人間を滅ぼさないと約束した証だ。


 つまり平和の象徴なのだ。


「これは通行証じゃ。番人に見せればすぐに判る」


 「ほれ」と言って投げ渡してくる賢老。こんな重要なものをこんな扱いで良いの?


「今日は遅くなるから宿をとってある。良い宿じゃ。温泉もある。ウリエル用に蜂蜜のチーズ焼きも用意しておる」


「わーい、ごうせいだー」


 ウリエルははしゃいでいた。


「ありがとうございます。そこまでして頂いた以上、依頼は果たす様に最善を尽くします」


「うむ、頼むぞ」

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