第56話 リリウムのお祖母さんも規格外だ

 コホンと咳をして賢老は話を切り出そうとする。


「ここから本題じゃ。ソドム単独では死の王は止められん。じゃから学術都市も軍事を増強する必要がある。次は王国の番じゃ。あんちゃん、いや、ファルマコ殿、お主の出番じゃよ」


「はい?」


「蠟封した手紙を王国の王に届けてほしい。リリウム嬢には祖母に和平の提案を伝えて欲しい」


「だってさー、お祖母ちゃん」


 リリウムがそう言うと。


(そうかそうか、時代も変わるもんじゃ)


 な、何だ。この頭に直接響く声は。


「見とったのなら返事位せえよ。ルクス」


(今な、ドラグーン達と特訓中なんじゃよ。済まないねえ)


 「老いて尚戦乙女は健在か」


(お主こそあの時のハナタレが立派な学者になりおってなあ)


「まあのう、勉強だけが取り柄じゃったからな。にしてもこの通話は便利じゃな。学術都市でも未だ開発されておらん代物じゃ。これが実用化出来れば国々の連携も楽になるのじゃがな」


(私やが中継役を果たせば良いだけじゃろうに。あんたも食えない男になったね)


「世界の発展の為じゃよ。失われた技術の中には素晴らしいものも沢山あった」


(代わりにあんたらは戦上手になったじゃないかい)


「それとこれは話が別じゃ」


 二人の会話に割って入る。


「あのー、知己を温めているところ大変申し訳ないのですが、僕が何で王国に行かなきゃならないのですか?」


(アダムの末裔様のご質問じゃよ、グノーシス)


 賢老は頭をポリポリ掻いて説明を始める。

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