第55話 死の王とソドムの武力

 しかし、価値か。気になるな。


 この世界の物価指数が判らないと今後も困ることになる。正直、食料品はここのものをソドムに持って行けばかなりの高値が付くと予想出来るし、王国とやらは製鉄技術が発達しているらしいからアーサーの必要な武器とか調達する際に当たっては物価指数を知らなければならない。


 うん? そういえばこの大学都市はシャーマンを中心とした魔法文明の筈だが、見かけない。


「魔法使いはどこにいるんですか?」


「主に軍部じゃ」


「軍部?」


「ああ、言ったじゃろう。ソドムが衰退し始めておる。死の王に対抗する為にシャーマンを主に軍事関係に再編成させた。それまで街中でも商売をしとったが、事態が事態じゃからなあ」


「随分、おおげさですね」


「そう思うか? ソドムの精鋭軍数百がなす術もなくやられていったのにか?」


「うーん、数百でですか?」


「精鋭じゃぞ」


 ゴブリン達に追われていた時はリリウムが弓で容易く仕留めていたからなあ。精鋭と言われてもイマイチ実感がわかない。


「ウリエルさん、ウリエルさん」


「なあに?」


「ソドムの精鋭軍ってそんなに凄いの?」


「んー、タリバンと同じくらいだねー」


「エッ! そんなに強いの!」


 そりゃ、本気で拙いわ。避難する民が今後次々現れる可能性がある。一国を落とせる兵力をものともしない相手だ。


 世界中で噂になっているんだろうな。事態は僕が思うより深刻かも知れない。


「師匠、タリバンって何ですか?」


「うん、めっちゃ強い異教徒の軍隊だと思ってくれれば良いと思う」


「それって死の王はもっと……」


「そうだね……」

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