第48話 友は何処に?

 本題から外れかかっていたので本題に入る。


「グノーシスさん、アダムの末裔を見かけませんでしたか?」

 

「ここにおるじゃろ」


「いや、僕以外にもう一人来ている可能性があるのです」


「見かけとらん。さっき言っていたベリアルと同伴している者か?」


「ええ、そうです。彼を連れ戻すのが僕の使命です」


「そうかな? 他にも使命とやら帯びておるんじゃなかろうか?」


「それを果たすのは僕ではありません。あくまで手伝い程度です」


「あの子供か」


「ええ、難儀なものです。出来る限り支えたいとは思いますが」


「大丈夫じゃろう。見たところしっかり者じゃ。子供と思って舐めてかかると痛い目を見るかも知れんぞい」


「確かにアーサーはしっかり者ですね」


「ふむ、武芸の心得がありそうじゃな」


 武芸? それは知らなかった。だが、大祭司の奴隷だったのだ。いざという時の為の訓練は受けている可能性はある。本来は哀しむべきことかも知れないが。子供が人殺しの訓練をしていたと思うとやるせない。


「相当な腕前ですかね?」


 試しに探りを入れてみる。


「実践向きの武芸じゃからのう。相当訓練は積んだ様子じゃな」


「それは頼もしいですね」


 皮肉にもアーサーは準備を運命によって調えられていたということか。


「さて、夜も遅くなってきおった。そろそろ寝るか」


「そうですね」


 もしかしたらメランコリアさんも無事で宜しくやっているのかも知れない。

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