第43話 何だか色々詳しいお爺さん
「ソドムと違って平穏そうなところですね」
「まあ、ソドムは超大国だからな」
「超大国?」
「なんだあ? あんちゃん案外ものを知らねえな。ソドムは世界経済の半分を支配しているし、軍事力では世界の六割を占めるんだぜ。学術都市の研究は一般的に生活の為で役立っているが、ソドムの軍事研究所は違う。戦争に関する技術や戦略を開発することに至っては世界最高峰さ」
内心、緊張していた。ソドムってそんな凄い国家だったのか。大祭司も世界の財貨の半分を持っているって言ってな。あれ、嘘じゃなかったんだ。
でも、そうすると何故大祭司はウリエルを恐れたのだろうか? そもそも五百年前のウリエルはどんな立場だったのか?
「あのう、つかぬことをお伺いしますが、ウリエルっていう五百年前の人物を知っていますか?」
「その名を知らねえ者はいねえ。我らの神が最も畏れた存在だっていうんだから。コボルトにとっては偉大なる英雄だが、俺達にとっちゃ悪夢みたいなもんさ。詳しいことなんざ誰も知らねえ。ただ、色々な伝説は残っているわな。それも眉唾もんか本物か判らんのさ。それだけ規格外の存在だったんだろうなあ」
「虚飾の神が恐れた程だったのですね」
「虚飾の神って言い方は良くねえぞ。名は知られてねえが我らの神って呼んでいるんだぜ。変なとこで博識だな」
「失礼。学術を嗜んでいるものでしてどうしても専門用語が出てしまう癖がありまして」
「まあ、神様の名は神聖だからな。無礼なことすると罰が降っぞ」
「気を付けます。しかし、難儀ですね。名のないというのは」
「いや、本当は名前があるんだ。歴代の大祭司の名前がそれに近いらしい」
べリアス。ベリアルと似ている。これは何かの因果かな? 疑いがますます強くなる。
ひょっとしたらメランコリアさんはソドムにいるのかも知れない。
「しっかし、ソドムも長くねえかも知れねえ。だから、学術都市に一時的に避難って訳さ」
「ソドムに何かあったのですか?」
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