第42話 旅団と草で取引

 少しすると別の旅団が後ろからやってきた。


「なんじゃあ! こりゃたまげたわい!」


「あ、草要りますか? 最上質の草ですよ」


「あんちゃんの荷物か? それにしては多すぎる様な……」


「ええ、僕達の草です。ですが、代わりにと言って何ですが」


 旅団の人達が緊張した視線を送る。


「良い蜂蜜と日持ちするチーズを分けて貰えませんか」


「ほう、あんちゃん。採算度外視だねえ。良いねえ。おい、聞いたか? 蜂蜜とチーズを持ってこい」


 若い人達が荷台に次々と蜂蜜とチーズを運んでくれる代わりに馬達はご馳走に舌なめずりして美味しそうに食べていた。


「「いやあ、助かった」」


 焚火をしながら、お互いにそう述べていた。


「草が余ってしまって」


「うちは逆だ。馬に食わせる草がねえ。何でか知らねえが学術都市は緑がふんだんに溢れているのにその周りの地帯は土地が貧弱でな」


 へえ、何か特別な技術でも持っているのだろうか。学術って言う位だから技術力は高そうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る