第35話 そんな麻雀ありなの? 

 うーん、九種九牌か。ついているのかついてないのか判らない配牌だ。国士無双狙えるな。やってみるか。そうしてリャンピンを出す。


「ろん」


 ウリエルがいきなり言い出す。


「「「え」」」


 三者三様の反応が戸惑いだった。


「すーれんこー、すーあんこーたんき、だいしゃりん。よんばいやくまん」


 何を考えているんだ。よりによって味方から上がるなんて。ハコ下なしだから終わらないけど。親が流れてしまった。


 え、四倍役満ってことはあれだよね? 今、僕十九万二千点失った?


 本当に考えが読めない。親はウリエルに流れてしまった。どう攻めれば良いんだ?

配牌を並べ替えている最中にウリエルが宣言する。


「つも、てんほー、つーいーそー、しょうすーしー、すーあんこー、よんばいやくまん」


 え? さしもの誰もが固まった。場に凍り付く雰囲気が漂う。


 大祭司が疑心暗鬼になって言う。


「言っておきますが、不正があった場合は即失格です」


「ダイジョーブ、悪いことしないのがウリエルのしゅぎなの」


「ウリエル? まさか……」


「あの時のへいしさんがえらくなったねえ」


「ヒッ! まさか、あんたなのか? ひいい、この勝負は止めじゃ! すぐに去ってくれ! 奴隷も連れていけ、金ももっていけ! 我々に関わらんでくれえ!」


「ないしょにしてくれる?」


「分かった……承諾する」


「わーい」


 ウリエルは無邪気な笑顔で莫大な財産とアーサーを手に入れた。

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