第33話 雀荘で士師を見つける

それにしても大祭司という名称が気にかかった。


「ということは」


「この宗教国家の長をしている」


 なんてこった、マイ・ホーリー・エンジェル。ウリエルはなんていうところに自分達を連れてきたのだろうか。


「おい、アーサー、茶を出さんか」


「はい……ご主人様」


 そういって出て来たのは小柄な青年だった。身なりこそそれほどではないが、美しさは上々。中性的な顔つきに引き締まった程よい肉体の持ち主が給仕をしてくれた。


「こやつは何故か使い物にならんものでしてな。犯そうとすると途端に誰もが萎えてしまう。そのせいでこの若さで貞操を保ち続けている。まあ、料理の腕前は良いから重宝するのじゃが」


 大祭司は失望した顔で少年を一瞥してリリウム達を下見する。


「極上玉じゃな」


 いやらしい目つきでリリウム達を楽しんでいる。


 それはそれで不快だが、少年が気になった。もしかしてこの少年こそが。


 ウリエルに視線を送る。幼女はウィンクして笑っていた。


 なるほどね、この少年が士師か。


「では、チップは奴隷ですが、我々が勝った場合はその少年を頂きたい」


「それはそれは良い条件ですな」


「それとねえ、かちすぎたときはお金がほしいの」


 ウリエルが口を挟んだ。


「おお、お嬢ちゃん。構わんよ。ソドムの財貨は世の半分を占める程だ」


 大祭司は何故かウリエルには欲情していない。むしろ、少し怖がっている様にさえ見える。


 何故だろう。外見だけなら極上の幼女だが。


「レートはデカリャンピンで良いかね」


 その単語が出たということは麻雀か。役は一通り覚えているが、自信がないなあ。筋牌がよく読めないから振りこみやすいんだよなあ。しかもデカリャンピンとなると重圧が半端ない。

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