第32話 雀荘

「このじゃんそーだね」


 ウリエルが建物を指さす。


 あまりにも煌びやかな建物は周囲とは一線を画していた。


「国立賭博場ですか?」


 リリウムが尋ねる。


「そーだね」


「いらっしゃい」


 門の前の番人が出迎えてくれた。


「チップはその奴隷達ですね。ふむ、かなりの上玉だ。大祭司様も引き取りたがるかも知れんな。その娘は処女ですかい?」


「え、ええ」


 大祭司が少女を抱くのか。つくづく腐った都だ。


「天上卓へご案内です」


 そう言って階段で最上階を目指す。長ったらしい階段だ。円柱をグルグル回り続けている。


 数学設計だけは発展している様子だ。黄金比などは発見されているみたいだ。建築技術も相当なものだ。


 金ばかりに眼が行っていたが、重さで建物が崩れない様にしっかり設計されている。


 ある意味、この世界のローマ帝国といったところか。


 頂上に着くと筋肉が程よくついた老人が出迎えてくれた。


「よくぞソドムへ。わしは大祭司のべリアス。こちらは孫娘のべリリスじゃ」


 綺麗な女性が頭を下げた。だけど、何となく蛇を連想させるな。何だかこちらをおもちゃにしか見ていない様な気もする。


 

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