第31話 虚飾の都ソドム

 翌日のウリエルは回復したのか。気前良く馬車を用意してくれた。ついでに服装と見た目もカモフラージュしてくれたから助かる。


 それにしても豪奢な馬車だ。貴族が乗る様なものだ。こんな派手で強盗に襲われないのか。


「きょしょくのみやこはねー、みんな、はでなの。だからダイジョーブ」


 やがて都が見えてきた。


 何だこりゃ? 全部が金やプラチナ、銀であしらった建物ばかりだ。歩道は大理石だし、住民も住民で高級そうな服ばかり着ている。


「ここ、本当に奴隷いるの?」


「確かにいます」


 リリウムが答える。どこにいるんだ? 物置小屋にでも閉じ込められているのだろうか?


 いや、いる。男共がコボルト族の少女を取り囲んで輪姦している。しかし、少女も満更そうでもない。愉悦に満ちた表情だ。お腹が膨らんでいるところを見ると妊娠しているのか。ああやってゴブリンが増えていく訳だ。


 そりゃ、数が増えて強くもなるわな。至るところでその光景が見られた。吐き気が催す。

 

 綺麗な衣装を着せられてまわされるなんて何て悪趣味な都なんだ。


 自分でリリウム達を奴隷に変装させようなんて案が不安になってきた。


「ウリエルさん、ここ本当に大丈夫なの。リリウムさん達とか隠しておいた方が良いんじゃない」


「ダイジョーブ、どれいはごしゅじんがいる場合は手をださないのが掟なの」


「とは言ってもなあ」


 不安がよぎる。ここの倫理観はあまりにも悪徳だ。想像以上だ。リリウム達も良い表情はしていない。同胞を憐れむ視線をおくっている。

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