第16話 うわ、幼女強い

ここで意外な展開が起きた。ウリエル、さっきから痴女モードに入った様子だ。ゴブリン達はパンツが気になって仕方ない様子で攻撃に取りかかれない。


「蜂蜜! ヨーグルトも付け足す! だから、こいつらを撃退してくれ!」


「むにゃむにゃ、後、三分……」


 三分じゃねーよ! 命かかっている時、一分も二分もあるか!


「判ったよ、ウリエルさん、カスピ海ヨーグルトにしよう」


「ほえ?」


 本当に寝ていたのか? 狸寝入りじゃないかって毎回疑うんだけど。


「しょうがないないなあ、30ミリガトリングキャノン」


 ピカーッッほわわわぁん、タッタラタッタッターターターン。


 幼い頃に見た某国民的アニメの様な効果音が鳴り響いいた様な気がした。


 しかし、実際に目の前にあるのは可愛らしい未来道具なんてものではなくおぞましいまでの兵器だった。


 ウリエルがそう言うと戦闘ヘリとかに付いていそうなとてつもないガトリングキャノンが現れた。


「ぽちっとね」


 そう言うと砲がけたたましく掃射を始めた。低く腹に響く長い音が響いた。砲が回転しながら、砲なんて本来動く筈がないのに風をつかむ鳥の様に高度を上げて行き、それと同時に薬莢が軌跡を描く様に落ちていっている。その間もゴブリンを捉え続けた為に薬莢は出来損ないの円を造った。


 ゴブリン達は反応する間もなく時間にして僅か三秒。少なくとも僕の感覚では三秒であった。その間に弾頭は地上に刺さり続け、無数の穴を生み出していた。


 それは蜂の巣の様な綺麗な形でもなく歪な代物だった。低い音が止まった。にも関わらず耳の奥では未だ響いている。


 弾頭が造った穴に視線を向けるとそこから水位が上がった液体が浮かんできたが、それは黒ずんだ液体でゴブリン達の残骸であると判った。


 唖然とする僕を余所目にコボルトの女の子はウリエルの姿を見て平服し、そして、ウリエルは女の子達の頭を撫でた。


 ぱちくりと瞬きをしている。時間が止まったように、何度か繰り返された。


 その次には気さくに友達に接する様に。


「もー、ウリエルちゃん。五百年前からさっぱり変わってないね」


「それをいったらリリウム達もかわってないねー。ルクスもげんきー?」


「うん、お祖母ちゃんはまだまだ現役だよ」


 女の子達が女子の会話を楽しんでいる間、僕はひたすら呆然としていた。


 なーに? 何なの? ここ?


 トークが終わるまで僕は呆然としているしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る