第13話 風の様にきままに

溜め息を吐いて認める。そう言う一方でウリエルは冷蔵庫を漁ってヨーグルトを食べ始めた。


 ヨーグルトは良いのか? 乳酸菌を消化して殺していないのか? 罪とは悪を犯すことではない。罪とは善人が悪を見過ごすことである。


 止めようとして止めた。ウリエルは僕と同じくマイペースなのだ。そう言った型は基本的に中々直らない。


「ウリエルさんって掴みどころがある様でないよね」


「かぜはきままにふくからねー」


 この幼女、今度はチーズにまで手を伸ばしていやがる。全く聖霊も風に喩えられるが、御使いも同じだった。基本的に束縛出来ないものだ。


「ねむいよう」


 満足したのかお昼寝の時間に突入しようとしている。


 慌てて客室の布団に案内する。と言っても触れようとすると光速並みに動くから客室に蜂蜜を置いて炙って匂いで誘導するのだ。

 

 この方法がベストだとしてもこれから幾らチャッカマンが必要になるのかと考えるとその経費も馬鹿にならない。窓も締め切って痴女振りをこれから晒すだろうから扉も閉めとく。


 世界で賛否両論を巻き起こしたロリータが世に出版されてからこの国でもロリコンが流行った時代があったらしい。


 だが、何度でも言ってやる。幼女に手を出してはいけない。


 寧ろ、真のロリコン紳士は漫画で我慢するのが鉄則なのだ。ちなみにそう言った漫画の売り上げの一部は性病予防の為に社会に使われる。


「蜂蜜、生乳、ヨーグルト、チーズが切れたか」


 買って来なくてはなるまい。蜂蜜一つで寝室に誘導出来るかが掛かっているのだ。   


 もしかしたら蜂蜜一つの問題でこの国が天使の軍勢に制圧されたら洒落にならないだろう。


 某文庫の作家の大先生が言う様に世界は何時だって危機に溢れている。僕達が気付いていないだけで。


 眠っているのはあどけない幼女なのに。それなのに世界を滅ぼせてしまう程の影響力を持っている。


「困ったもんだ」


 買い物済ませたら寝よう。そう決めてだるい身体を動かして出かけるのだった。

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