第19話 人生初の犯罪です……

 いや、無理だって。僕かなり運転音痴なんだよ。


 しかし、皆の視線は僕に集まる。


 ウリエルさんが指を鳴らすといつの間にか装甲車の中にいた。


「何で僕が運転席なのさ?」

 

「リリウムたちのせかいにくるまはないよー」


 くそっ、何て貧乏くじを引かされたんだ。ウリエルさんを見つめながら乞う。


「運転の仕方、教えて下さい。教官殿」



 ゴッ! かなり嫌な音と共に振動が凄かった。性がない。装甲車なんて初めて運転するんだから。左の前輪が乗り上げる。次いで後輪も。


「あの……今の何です?」


「きにしない、きにしない」


「気にしては行けません、気にしては行けません。ちょっと大石を踏んだだけですよ」


 そう言いながら僕の表情は青ざめてはいないだろうか?


 今踏み殺したの、あれなんですけど。だから運転やだって言ってんのに。僕、刑務所行きになるかも知れない。


 しかし、全然安全だな。ひっきりなしに何か甲高い音は聞こえてくるがビクともしない。


「うん? 何だ? 速度が落ち始めたぞ?」


「ギャスぎれだねー」


「ウリエルさん、頼むね」


「うーん、むり」


「はあぁっ」


 装甲車を出せてガスを出せないとはどういう仕組みだ。からかっているのか?


 

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