出来損ないの黒板
私が中学校の横を通ると、出来損ないの黒板が、校舎の裏にありました。失敗作なのか、それとも後から壊れたのか、表面がぼこぼこしています。あの頃と一緒です。
「懐かしいなあ」
黒板には、たくさんの落書きがありました。交換日記をしている人もいれば、愚痴を書いて励ましてもらっている人もいます。「学校あるあるを挙げて」という一文の下には、何人もの書き込みがありました。
これが始まったのは、おそらく、私の書き込みのせいです。いつも校舎裏で本を読んでいた男の子に、私は恋をしました。でも、それを告げる勇気がなくて、こっそり黒板に書きこんだのです。「いつも本を読んでいるあなたが好きです。もしよかったらお話しませんか」と。男の子の返事も、黒板に書いてありました。「お友達からなら、いいですよ」でした。
「ふふ」
あの恋は結局実らなかったけれど、私の恋がきっかけで黒板を使う人が増えたのかもと思うと、なんだか嬉しいのでした。
(お題:出来損ないの黒板)
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