「春のそよ風が肩をなでるから」――

有名ブランドの新作バッグ売り場に、そう書かれた札が現れました。普通は商品名があるところに、大々的にポエムが現れたのです。実は、これこそが商品の名前でした。わかりやすくて長い名前のスナック菓子やライトノベルが増える中、ついにブランド品にまでその流れがきたのです。他のブランドにも、少しずつ長い名前のバッグや洋服が増えてゆきました。親しみやすさと上品さを兼ね備えるのに、ちょうどよかったのです。

数年後、パリコレではこんなアナウンスが流れることとなりました。

「テーマは日本の伝統と遊び心。伝統は守るものじゃない。遊び心を加えて、より良く発展させてゆくもの。そんな思いを込めて、私たちはこの服を作りました。服の名前は、『寿限無寿限無五劫のすりきれ海砂利水魚の――』」

（お題：とてつもないブランド品必須要素：ポエム）