二人は魔女っ子
白魔法を使う妹と、黒魔法を使う姉。小さな二人は、この町の人気者です。ちょっとしたお悩みがあると、この町の人は二人を呼びます。呼ばれた二人は笑顔でくるん! ステッキを振って、即解決!
「お~い、魔女っ子さ~ん」
二階のベランダから、誰かが空に向かって叫んでいます。ランニングシャツのおじさんです。箒で飛んでいた二人は、くるん!と振り向くと、声をかけたおじさんのところに飛んでゆきました。
「子供が花瓶を割っちゃったんだけどね、奥さんに怒られちゃうから、戻してくれない?」
「おじさんまで怒られちゃうの?」
「子供をちゃんと見てなかったって言われるよ~、奥さん今出かけてるから、内緒で直しちゃってよ~」
「う~ん」
二人は首をかしげました。
「花瓶を割っちゃったなら、怒られても仕方ないと思うよ。白魔法じゃ直せないな~」
「でも、黒魔法は壊すことはできても、復活は難しいんだよね~」
「じゃあ~」
「灰魔法、使っちゃいますか!」
二人はくるん! と顔を見合わせて、お互いの魔女帽子を交換しました。白魔法の妹が黒い帽子、黒魔法の姉が白い帽子です。
「今から、お母さんにだけ壊れてない花瓶が見えるようにします。でもね、本当は壊れてるから、触ったらケガすると思うの。お母さんがケガしないように、早めに言ってあげてね」
「直しはしないけど、自分のタイミングで花瓶のこと言えるようにすれば、いいよね?」
大きな目で見つめられたら、誰でも「うん」と言うしかありません。おじさんも「わかった」とうなずきました。二人はくるん! と花瓶のほうを見て、ステッキをくるん!
「マジカル・メジカル・ポポロイヤ~!」
灰色の何かがステッキからあふれ出て、壊れた花瓶を取り囲みました。花瓶の表面が、薄い銀色に輝きはじめます。
「はい! これで解決!」
「グレーな答えも、たまにはあり!」
二人がにこっ! と笑うと、おじさんもつられてにっこり。
「じゃあ、またね~」
二人の魔女は、また青空に飛んでゆきます。
「あ! そういえば、認識を変える魔法って……」
「魔法界ではグレーゾーンだった気が……」
あらあら、今度は二人が怒られる番ですね。
(お題:灰色の姉妹)
(けっこう書き足したから、合計で30分くらいかかったかも)
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