オシドリ夫婦

オシドリ夫婦っていうけれど、私の夫のオシドリは、いつもどこかに出かけてばかり。夜のアレも、最近めっきり減ってきた。子供たちも巣立っちゃって、退屈なのよね。

「ねえ、奥さん、今お暇?」

仕方ないから、私も友達を作ったの。若い男の子。最初は巣にいる私に道を聞いてきたんだけど、それ以来ちょくちょく巣に寄って来るようになった。水浴びのときなんかも、声かけられちゃったりして。一緒に水浴びして、羽が触れたとき、少しだけドキッとした。若いツバメ、じゃなくてオシドリにかどわかされちゃいけないって、頭ではわかってるんだけど。

「いい? いくよ……」

今じゃ羽が触れるくらいじゃ足りなくて。撫でまわされて、甘噛みされて。首をこすりつけられたら、声を上げずにはいられない。

「こんなことしてちゃ、オシドリ夫婦の名が廃るわね……」

ピロートークで切り出すと、彼ったら、ふふふって笑ってこう言うの。

「何言ってるの。俺らのは、押し入って横取りする、押し取り夫婦」


(お題:鳥の情事)

(調べてみたところ、オシドリの生態って、全然こんな感じじゃありませんでした)

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