ピスタチオパニック

「ピスタチオってキャンディーですよね」

「キャンディーでは、ないよ」

「キャンディーですよね」

「違うって」

「だって丸いですもん」

「だとしたら丸いもん全部キャンディーになるぞ。ボールとか止まれの標識とか」

「止まれは違いますよ、薄っぺらいから」

「そこは細かいんやな。とにかく、違うから」

「じゃああれは何なんですか」

「何って……何やろな」

「あなたも知らないんですか。じゃあキャンディーかもしれないじゃないですか」

「キャンディーではない。キャンディーではないことははっきりしとる」

「じゃあ何なんですか」

「豆……とか」

「豆ならキャンディーじゃないですか」

「嫌やなー、豆もキャンディーに含まれてんのかー」

「豆はキャンディーでしょうよ。丸いし」

「判断基準そこだけなんやなー。でも真ん丸ではないよな、ピスタチオ」

「ボールにもラグビーボールってものがありまして」

「やっぱりボールもキャンディーだと思ってる! ボールならキャンディーだと思ってるわこいつ」

「ラグビーボール、食べたことないんですけどどうなんでしょうね。味とか違うんですかね」

「食べたことない時点で気づいてほしい……」

「まあ、とにかくピスタチオはキャンディーだということがわかりました」

「待て待て待て! 違うんや、ピスタチオは……あ、そうや、ナッツ! ナッツなんちゃう?」

「ナッツ……」

「ナッツならどうや……?」

「ナッツなら、キャンディーじゃないですね」

「よし勝った! ようやくキャンディーじゃないことが証明された! よくわからんけども!」

「おめでとうございます」

「お前のせいでごちゃついてたんやけどな。まあいいか、ピスタチオアイス食いに行かん?」

「ピスタチオのアイスがあるんですか」

「あるよ。今期間限定フレーバーであったはずや」

「アイスになるならキャンディーじゃないですか」

「嘘やろこいつ」


(お題:不思議な誤解 必須要素:ピスタチオ)

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