第4話 王女
僕の予測は、いつの間にか確信へと変わっていた。この人なら、アレをするかもしれない、そんな考えが浮かんだのだ。
「革命軍と王国軍が最後の決戦をする時、城門を開けたのって君でしょ。」
「なっ!」
僕がそう尋ねると、少女は分かりやすく動揺した。どうやら、僕の予想は当たったらしい。
「そんなに驚くって事は、肯定って事でいいんだよね。」
「ど、どうしてわかったのよ。まさか、レオルド・フォン・ハーンブルクに・・・・・・」
「いや、兄さんには何も聞いていないよ。ただ兄さんも実行者が誰なのか知らないって言っていたからもしかしたらって思ってね。」
先ほど資料に目を通している時、少し前に兄さんが話しいた事をふと思い出した。
兄さんは、1年以上王都攻防戦が続くと予想していたが、実際は1週間足らずで終結してしまった。原因を調べてみたところ、内側から王都の城門が開き、その隙に革命軍が突撃を行ったらしい。
当時、王国側の貴族達は、革命軍に対して連敗続きであったため疑心暗鬼に陥っていたらしい。お互いがお互いを強く監視し合い、城下町に住んでいた国民に対しても厳しい規制がかけられたそうだ。
そのため、貴族や国民が王国を裏切って城門を開けた可能性は低い。それに、今回の内戦で王国に味方した貴族は全て取り潰しされた上で投獄もしくは鉱山送りにされたと聞いているので、貴族の中に裏切り者はいないだろう。
その状況下で、唯一城門を開ける事ができる人物、それが旧王家というわけだ。
「なるほどね、確かにハーンブルク家の人間のようね。それで?私に何の用かしら、もしかして今の事を咎めに来たの?」
「いいや、あの判断は間違いなく英断だったと思うよ。あのまま戦争が続いていたら、食糧問題や疫病なんかで苦しむ未来しか見えないからね、まぁ僕なら相手が兄さんって時点で戦わずに降伏するけどね、勝てる気がしないし。」
「それは、お兄さんの事をよく知っている貴方だから言える事よ。私は、ハーンブルク家と戦争すると聞いた時、負けるはずが無いと思ったもの。」
「ははは、確かにそうだね。」
実際、兄さんは圧倒的だった。見た事も聞いた事もない新兵器を次々と作りだして敵を圧倒、一夜にして敵を壊滅状態にしたと聞いている。
きっと、あの人は何かチートを使っていると思う。もしくは、神かドラゴンに祝福された存在だ。
争うだけ無駄、そんな雰囲気がある。
「それで?結局ここに来た目的は何なのよ。」
「あぁ、それはね、君に1つお願いがあって来たんだよ。」
話していてわかった。まだ成長途中であるが、彼女は素晴らしい才能を持っている。何歳かは聞いていないが、僕と同じぐらいの年齢で、あのような行動を起こせる人物はほぼいない。
「お願い?」
兄さんから出された最初の課題、これには意味があった。というより、兄さんの行動には意味がある。思えば、王家達を辺境の牢獄に収監したと民衆に向けて発表したのは兄さんだし、捕えられた旧王家を全員ここに収監するように命令したのも兄さんだ。丁寧に、1人1人別々の部屋を用意したのも兄さんだ。
もしかしたら、僕をここに案内した先ほどの兵士も兄さんの息が掛かっているかもしれない。
ここに来た目的であり、これからジア連邦共和国を運営する上で、現状最も必要な事、それは・・・・・・
「うん、僕と協力して、国を創ろうよ。」
仲間を作る事だ。
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どうでもいい話
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