11

放課後になるとコウくんが迎えにきた。

「コウくんいつまで一緒に帰るの?」

一緒に登校はするものの部活をずっとしていたコウくんと帰るのに馴れずに聞いてみる。

コウくんは「あぁそうだなぁ」と言って考え始めた。

「ちなみに最近なんか変わったこととかない?」

コウくんから急に質問が飛んできた。

「変わったこと?」

「おう。例えば誰かにつけられるとか、道で誰かにぶつかられたりとか」

「えっ?それは楽しい話じゃないね」

「あぁまぁ特になりもないならいいんだけど……」

「そうだね特にないよ。でもなんでコウくんが私のこと気にするの?」

一瞬間があった。

「ちょっと帰りにカフェに寄っていいか。そこで話すわ」

そう言って家にそのまま帰らずにカフェに寄ることにした。


カウンターでコーヒーを購入すると入り口から一番遠い席に座った。

「それで?」

奏から話を促された。

「えーっとどこから話すかな……」

俺は何から少し悩みながら話を始める。

「確か4月の中旬くらいかな?クラスメイトと受験で遊びにいけなくなる前に息抜きしに遊びに行こうって誘われたんだ。俺もまぁたまにはいいかと思って良いよって言ったんだけど、それが実は他の学校の子達と一緒に遊ぶ感じだったんだよな」

俺はふぅと深呼吸した。

「それでそこにいた女の子の1人からずっとアプローチされてて、受験だし付き合う気もないって伝えたんだけど納得いってなくて、ずっと断ってきたんだけど……。先週たまたま俺が奏と登校するのを目撃したらしくて、自分の学校で相当文句を言ってたらしい。それで奏に何か危害を加えるんじゃないかってクラスメイトに言われたからこうやって登下校してるわけ」

「なるほど。モテる男も大変ですね。それで情報は誰からもらってるの?」

「塾で知り合った子がその女の子と同じクラスらしくて定期的に情報くれる」

「ふーんそうなんだね。でも今のところ誰かにつけられたりとか嫌がらせの類はないし、気にしすぎなんじゃない?」

「うーんそうかな?まぁなんにせよ夏休みに入るまではまでは送るよ」

「そっかありがと。でも別にコウくんが送ることもないんだよね?」

「ん?あぁ……まぁな。一人じゃなきゃとりあえずは大丈夫だと思う」

「そっか。じゃあもう送らなくても大丈夫だよ」

俺が送らないとなると今野にでも送ってもらう気なのか?いつからそんなにあいつと仲良くなったんだよと思ったものの口に出すのはグッと堪えた。

「誰に送ってもらうんだ?」

「クラスメイトでこっち方面の子がいるからその子と一緒に帰るよ。だってコウくん本当は学校の後塾に行くんでしょ?私を送ってからだとだいぶ遠回りになっちゃうし、受験のために頑張ってるのに余計なことに気を取られたくないし」

「あぁ。まぁそれでもいいけど何かあったらすぐに連絡しろよ。絶対な」

「うん。ありがとう」

そういって奏は笑顔を向けた。

俺は奏を家まで送り届けると塾へ向かった。

自転車を漕ぎながら確かに受験に集中できなくなるし、何か起こる前にあいつに直接話に行ってもいいかもなと思った。

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