第38話 プランツの計画
我ら3人の復活があれば、計画は上手く行くだろう。
復活したプランツはとても気分が良かった。
他の魔人達と最終計画を練っていたのだ。
この500年、本来の身体もなく、力もない自分が惨めで仕方なかった。
これも全て人間のせいなのに、同じ人間でしかいられない事が悔しかったのだ。
しかし、今は違う。
人間よりも力も能力も上なのだ。
そして今、計画通り魔人の王であるブラックと連絡をとることが出来たのだ。
500年前、我らが人間との戦いを望んだにも関わらず、異世界に逃げるなど、そんな弱腰な魔人を私はもう王とは認める事が出来なかった。
異世界に行った後も、追跡が可能なように種を忍び込ませたが、まさか一緒に封印されるとは・・・
誤算であったのだ。
もちろん、自分たちがほとんど消滅させられた事も予想外ではあったのだが・・・。
しかし、本来の自分の力が戻りつつある時に、封印されていたしもべとつながる事が出来たのである。
封印の魔力を吸って成長を遂げていたことに驚いたのだ。
まあ、そのおかげで封印も解かれ、小物の魔人を上手く動かし、異世界との繋がりを復活できたのであるから。
あのクオーツという男の怒りや憎しみを増幅させる事は簡単であった。
魔力が戻っていなかった自分でも、しもべを使い難なく言いくるめる事が出来たのだ。
人間になって魔力が使えない事で、言葉の重要さを思い知ったのだ。
言葉をうまく使う事で人を動かすことも可能であるということを。
「それで、どうやってブラックを出し抜くの?
普通に戦えば、負けるのはこっちだよ。
力の差は歴然なんだから。」
ストームが早く話せというばかりに、身を乗り出してきた。
「まあ、焦るな。
人間の世界を掌握するだけならあっという間だろうが、ブラックをどうにかするにはしっかりとした計画が必要なのだよ。
ストームは上手く私の指示通り動いてくれよ。」
「ふーん、まあプランツに任せるよ。
私は頭を使うのは苦手だからね。」
そう言うとストームはそれ以上何も言わなかった。
もう一つの誤算はあの娘の存在なのだ。
だがブラックの弱点にもなりうる事が分かったのだ。
私が復活する直前に、あの娘、舞とブラックが話しているのを見たのだ。
やはり、500年前ブラックと交流があった人間の娘と関係があるようだ。
その人間の娘はよく魔人の城にも出入りしていたので覚えている。
そして、我ら魔人を消滅させるような薬を作ったのだ。
今いる舞と言う娘。
私が人間のシンブである時に城で会ったが、どこかで見たような気がしていたのだ。
クオーツに使った黒い闇の薬、そしてブラックと話しているのを見た時、確信したのだ。
これは使えるかもしれないと。
しかし、城に閉じ込め、多くの魔人にも効果のある薬を作らせようかと思ったが、しくじってしまったのだ。
まさか、まだ人間である自分にも薬を使うとは思わなかったのだ。
油断したのだ。
だが、今はその時と違い、完全に元の身体なのだ。
今ならあの娘を上手く使う事ができるはず。
「プランツ、そろそろ行くか。」
グラウンが呼びにきた。
「ああ。行こう。」
今回こそは失敗するわけにいかないのだ。
我らは人間の城の周りに瞬時に移動した。
人間の城は洞窟が出現してから、魔人対策の結界が張られていた。
シンブでいた時は問題なく出入りできていたが、復活したプランツでは、もう簡単には入る事が出来ないのである。
しかし、毎日のように過ごした城のため、中の様子は手にとるようにわかるのだ。
そして、すでに種をいくつか仕掛けてあるのだ。
今は結界のため種のままだが、いずれ役立つ時が来るだろう。
我々が城の周りに到着すると、人間達のざわつきを感じたのだ。
まだ何もせず、近くにいるだけなのにバタバタと大騒ぎをしているのが滑稽なのだ。
心から笑いが込み上げたのだ。
「ストーム、見てみろ。人間どもが色々な準備を始めたぞ。
我らに脅威を感じているようだぞ。
面白いもんだな。」
「面白いけど、この結界がほんと邪魔だよね。
どうするの?
結界を破ることも出来なくはないけど、かなりの魔力が必要だし。」
ストームは結界のせいでイライラしているようだ。
魔人としての力は強いが、我慢が足りない子供のような性格が難であるのだが。
グラウンに目を向けると、仁王立ちしたままずっと沈黙の状態であった。
後は予定通りブラックが現れれば良いだけなのだ。
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