8回目21
第三エリアはジェットコースターやお化け屋敷などの大型アトラクション。
安全面から子供達は乗れないものが多いが、所々から大人達の悲鳴が上がっている。
ジェットコースターもエベレスト級だが、ここのメイン、お化け屋敷もトラウマ級の怖さなので、挑戦者は誰もいない。
プレオープン時、怖いもの知らずの冒険者達が挑戦したが、失神するか、いくつかあるエスケープ扉から脱出するかして未だに完走者はゼロ。
薔薇の園とアスタリスクはそういう所は苦手なため誰も挑戦しなかった。
「よし、俺様が挑戦してやる。ここをクリアしたら、さっきの約束をしてくれ」
「いいですよ」
性懲りもなく第三王子が挑戦を表明し、京夜達は了承する。
美幼少王子なのに、そこはかともなく、かませ犬、三枚目臭がする。第三王子なだけに。
「ほんとに行くんですかマーシュ様、俺、怖いの苦手なんすよ」
嫌がるゲオルグと近衛騎士数名をひきつれお化け屋敷に挑戦した。
お化け屋敷の中は、洞窟風になっている。
真っ暗闇で、挑戦者はランタンを持ってクリアを目指す。
さてさてどうなることやら。
第三王子がトラウマにならないよう祈っていた。
くそが俺様を馬鹿にしやがって。
俺は苛立っていた。今までは俺の言う事は絶対だった。メイドも侍女も騎士も俺の言うことには従っていた。
さっきの事も何度かメイド達に命令したことがあるし、民の中に気に入った人物が居れば騎士に命令してつれてきてもらい同じ事をした。
もっと先のことは知識として知っているが、残念ながら体がそこまで成長していない。
ゲオルグ達と同じようにもっと楽しいことができるのだが。
だから今は『このぐらい』で納めている。
慈悲深い俺様に感謝するがいい。
そんなある日、腐った下等行商人から面白い事を聞いた。
何でも絶世の美女がテーマパークをオープンするらしい。テーマパークも興味深いが絶世の美女に興味をもった。
そして、母上にお伺いを立て、今日という日を迎えた。
道中、バラの園とアスタリスクという冒険者クランの人間も美人揃いだった。
母上がいなかったら命令していた所だった。
それでも何回か抱きつくチャンスを窺っていたが、全くと言っていいほど隙がない。
とうとう我慢できなくなり、ゲオルグに相談したが、二つとも有数クランらしく、たとえ王族でも迂闊には手が出せないらしい。
いらいらしながら目的地に着き、そこに女神を見た。
どうせ田舎の芋臭女で、大したことがないと思っていた。
なんのなんの、蓋を開けてみれば今までで一番の美人じゃないか。
ゲオルグに言って、すぐさま俺の者になるよう算段する。
ゲオルグも目の色を変え、気合いが入っていた。あんな極上の女を見れば誰だってそうだろう。
美女だと思っていた冒険者達が霞んで見えた。
しかし駄目だった。なぜなら彼女が異世界の者だからだ。
ゲオルグも歯噛みし悔しがりながら諦めていた。
異世界の人達と敵対すればどうなるか俺でも分かる。
最初の教育で言われた。異世界人には絶対に危害を加えてはならぬと。
異世界人の事はもう耳からたこができる位聞いた。
そして理解せざる終えなかった。異世界人に手を出せば国が滅びると。
それは言い過ぎだと俺は思っているが、手を出したら追放されると言われたので従わざる終えなかった。
しかし、ここまで来てみすみすこの好機を逃すのは我慢できなかった。何度か成功したらと言う名目で条件をのまさせ、ゲオルグとチャレンジするが、失敗に終わる。いい笑い物でここまで苔にされたのは初めてだった。
腹いせに妹が遊んでいた杖を壊したが、母上に怒られた。
いらいらが倍増する。
そして今、お化け屋敷という物にチャレンジしている。
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