8回目20

 ダズニーランドには四つのエリアがある。




 最初に来たのは子供向けエリア、ゴーカートやメリーゴーランド、射的にヒーローショー。




 中でも目玉はリアルインベーダーゲーム。




 これを作るのには相当苦労した。




 この世界は横に動くインベーダーはいない。だからそこをこの世界のモンスターにして、電気がないので魔道具で再現した。




 レベルは五十まであり、薔薇の園とアスタリスクを始め冒険者にもやってもらったが、最高で三十二レベルをクリアするに留まった。




 ルールは、特殊な眼鏡をかけてもらい出てくるモンスターをひたすら倒す。縦長のマス目状のフィールドがあり、そこ出たら失格負けになる。




 実際にモンスターがでているわけではなく、虚像で、眼鏡をかけてない人には見えない。




 攻撃を受けても痛くはなく、ライフルポイントが減るだけなので子供がやっても安全だ。




 出てくるモンスターの数や強さは、難易度によって異なり、クリア条件はモンスターをすべて倒すこと、失敗条件はライフルがゼロになる、マス目外に出る。最後尾のフラッグが破壊させるの三点だ。






 子供達は思い思いの遊具で楽しんでいる。




 どうやら第三王子がリアルインベーダーゲームに挑むらしい。




「おい、おまえらはやったことあるか」




「はい、マーシュ様」




 マーシュとは第三王子の名前だ。




 アスタリスクでもとびきりの雰囲気をもつものが答えた。




「何レベルだ」




「三十二レベルです」




「だったらこの俺が三十三レベルをクリアしたら、俺を抱きしめてキスしてくれ。おでこじゃないぞ、口にだぞ」




 くそ羨ましい。なに言ってんだこのエロませガキ・・・・・・ごほんごほん、第三王子の不遜な物言いにも女性はにこやかに対応した。




「はい、よろしいですよマーシュ様」




 あっ、絶対に無理だと思っている奴だ。




「約束だからな。おいゲオルグ、協力プレイでやるぞ」




 モードは一人プレイ、協力プレイの二種類ある。




 一応第三王子も自分だけでは無理だと思っていたらしい。呼ばれた人物は頭一つ抜けていそうな存在。額から口にかけて、顔に大きな傷跡があり、歴戦の傭兵のような雰囲気だ。




「あー、俺にもおこぼれくださいよマーシュ様」




 めんどくさそうに出てきて、冒険者の面々と京夜を見てだらんと鼻の下をのばした。




 前言撤回、ただのエロ親父だ。




 冒険者は少しぴりついた雰囲気になる。




 そして、俺の方を見つめる。




 どのレベルだったら大丈夫か教えろと。




 ぬいぐるみのまま京夜達についてきた。報酬として俺にもおこぼれをとジェスチャーで冗談半分で伝えようかと考えたが、彼女たちの目が冷たいことに気付き、馬鹿な事を考えないで真剣に思考する。近衛騎士所属、ゲオルグ第五部隊隊長。




 近衛騎士は第十部隊まであり、ゲオルグはその第五部隊の隊長。弱いはずがない。




 第五部隊は主に第三王子の護衛であり、マーシュの方もゲオルグには信頼を置いているように思える。




 三十三レベルはクリアできそうに思える。四十レベルでも不安だ。




 俺はジェスチャーで五十レベルを指示する。




「五十レベルをクリアできたのなら、一晩でも二晩でも共にしましょう」




「さっ、マーシュ様、五十レベルで挑戦しましょう」




 協力プレイの五十レベルで設定する。




 俺達も眼鏡をかける。そうしないと結果が分からないからだ。




 説明の後、スタートの合図が始まる。




 5、4、3、2、1。




 スタート
















 ゲームオーバー。




 まさに一瞬だった。瞬きするまもなく二人のライフルが全損し終了した。




「もう一回だ」




「いいですよ。何度でもかまいません」




 冒険者の面々も了承する。ほっとしたような余裕そうな感じが見受けられる。




「油断するなよゲオルグ」




「あー、マーシュ様、これはいくらやっても無理ですわ」




 参ったなと、頭をがしがしかき、早々に匙を投げる。




 その後何度やってもゲームオーバー。




 第三王子が癇癪を起こして、このエリアは終了した。




 それにしてもと俺は思う。




 レベル50は人間にはクリアできないよう設定した。




 敵のスピードは光レベル、数は五百。しかも制限時間は三分という鬼仕様。




 虚像なので防御魔法や盾で防いでも意味はないし専用の装備で戦はないと倒せない。見るからに重量級のゲオルグがクリアするのは不可能だ。




 それでも、最後のゲームは敵を十ほど倒して見せた。




 さすが第五部隊隊長、只のエロ親父ではないなと。


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