8回目19

とうとう来た。今日はこの国王族がダズニーランドを訪れる日だ。




 今日来ていただくのは、第三王子と第四王女、第一王妃に第三王妃、近衛騎士団30名。




 思えば色々あった。第三王子の関心をもらう為行商人が有力貴族に根回しして直接会うことができ、得意の話術で話に引き込み、度重なる話し合いの末、今日という日にこぎ着けた。




 こちらも今日限定で『アスタリスク』と『薔薇の園』から各十名来てもらい、従業員も1.5倍に増やした。二つのクラントとの打ち合わせも密に行い教育もいきとどおっており準備万端だ。




 二つのクランは訓練場はいたく気に入って、成功報酬としてこの村に大規模演習場を作る予定だ。




 本当は、王都に作って欲しいと言われたが、交渉の末、ここに作ることで落ち着いた。




 ここから出たことがないので非常に助かる。まさに京夜様々だ。俺だけだったなら、やりこめられて、王都に作る事になっただろう。




 従業員は配置につき、俺も配置につく。




 行商人や京夜と一緒に王族達のお出迎え? 違う違う、俺は今ぬいぐるみの中にいる。




 だって仕方がないじゃないか、王族の相手は細心の注意が必要だ。第三王子は六歳、第四王女は五歳だ。万が一泣かれでもしたらほんとに首が飛ぶ。それに俺の顔は印象が悪い。何せリアルオークだからな。自分で思ってて悲しくなる。




 ぬいぐるみの中は暑いし重い。周りは二十度でも、ぬいぐるみの中はサウナ状態だ。




 何のぬいぐるみかって、ふっ、それは主役のダズニーの敵役の仲間の雑魚キャラの一人だ。




 居なくてもいいキャラとは失敬な、誰も覚えていない、テレビアニメウルト○マンや仮面○イダーで5話ぐらいで登場してすぐにやられる奴だったとしても、コアなファンには人気があるキャラだ。




 ウルト○マンのに出てくる代表的な怪人バル○ン星人や○面ライダーに出てくる雑魚キャラ界のスターショ○カーとわ違うのだよ。




 俺はこのキャラを知ってたかって? もちろん知らなかったさ。俺はライトなユーザーだったので、京夜から言われても誰それ状態だった。




 著作権の侵害は、あれだ、異世界だからノーカンだ。それに、ディ○ニーじゃなくてダズニーだ。




 苦しい言い訳だが察してくれ。




 前から歓声が上がる




 どうやら到着したようだ。




 先頭は薔薇の園とアスタリスク。私服姿でゆったりとした歩きで、表情はにこやかだが、抜け目なく周囲をきくばっているように思える。




 続いて騎士団。軽装の鎧を来ていて、軍隊のように足並みが揃っている。俺から見ても熟練の戦士のような雰囲気だ。




 次に王族達と一緒にきた取り巻きの貴族とその子供達。子供達は目をきらきらさせてはしゃいでいる。




 その後いよいよ王族達だ。




 第三王子は活発そうな印象だ、やんちゃなクソ○キもとい、その人物は着ぐるみを引っ張ったり蹴ったりしている。




 逆に第四王女は物静かな性格で、おっかなびっくりで、母親の第三王妃のスカートの裾を掴みおどおどしていた。




 両方とも美男美女だ。俺と比べると誰だって美男美女だが、両王妃も見た目麗しく、その血を受け継いだ形だ。




 あまりみると不敬に思われるので、次だ次。




 その後ろに残り騎士団で、最後尾に残ったアスタリスクと薔薇の園。




 警備の数は前後で半々。




 村人達も全員いるんじゃないかと思うほど来ており、遠巻きで眺めていた。




 案内人は行商人とその従業員、京夜の二人。




 従業員は最前列で貴族の方は行商人、京夜は王族の相手をしている。




 第三王子は京夜の胸を掴もうとするがやんわりと、手を取ったり、かわしたりしている。




 いよいよ、一行は最初のエリアに入った。


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