8回目18
「これが雇用関係、続いて食料品の納品、こちらが純利益予測です」
「拝見させていただきます」
京夜は一言断りをいれ、ぺらぺらと資料をめくる。
俺は京夜の後ろに立っていて、資料を眺める。
なにやら難しい数字が多い。見たこともないような大金で数字の山山山。
だんだん眠たくなっていた。
はぁ~。
かっと目を見開く。遊んでいる場合ではなかった。
しかし俺が助言を挟むまもなく、さっさと京夜は資料に目を通す。
読むスピードが速く、全然追いつけない。
フラッシュ暗算をやっている気分だ。
数十枚を十分ほどで読み終わった。
「少し見積もりの予測が甘いですね。それに人員も半月前に1、5倍は欲しい所です。特に警備の数が足りません。もう少し有名所、ランクの高い冒険者を雇えないでしょうか。最低でも王族が来るときだけでも構いませんので」
「今でも財源が厳しいですので難しい所です。人員も従業員も総動員であたらせていますが、厳しい状況です」
「財源なら、ブータンさんの知識を売れば何とかなると思います。警備の人については王族の警備をすればはくとなるという路線でどうでしょうか。人員は今の給料の二倍を三ヶ月保証で契約すると言えば、二倍ほどはくるかと思います」
「それならなんとかなるかもしれません。女性の有名冒険者クランにあたってみましょう。ブータンさんの知識なら貴族の方が欲しがっていますから、その線でいきます。人員の方は・・・・・・」
二人は眉間に皺を寄せ難しい話をしている。
俺にはさっぱりと分からない。
一つ分かるのは、俺にも面倒ごとがあるようだなと。
行商人のビジネスパートナーは今や京夜だ。心の友と思っていた時代が懐かしい。
今でも親しいと思っているが、距離が開いているのは分かる。
やはり商人は利があるものにするよるなと。だから友達だと思っていたのは俺だけだった。
べっべつに寂しくなんてないんだからね。
俺をそっちのけで、会談は二時間に及び、相応納得のいく結果に終わった。
にこやかに京夜と行商人は握手を交わす。
その後、俺とも握手を交わしたが、目線は京夜にロックオン。社交辞令で握手をしたのだと分かる。
兄弟の杯は嘘だったのかと問いつめたかったが、なんとか顔はにこやかにして見送った。
馬鹿にしやがって畜生。
その後は京夜は地下で訓練後シャワーを浴び、俺は夜飯の準備をする。
本日は牛の似た形のモーのスペアリブとたたき、魚のサーモのカルパッチョ、カプレーゼとサラダ、コンソメスープ。
二時間ほどで作るよう時間調整する。
きっかり二時間ほどで京夜は居間に入ってくる。
風呂上がりの京夜の周りに湯気が立ちこめる。
色っぽすぎる。
バスローブ姿は生唾を飲むほど美しい。
変な考えをしないようあま見ないように目をそらす。
無防備だとは思うが信頼されている証だ。最初の一ヶ月は、露出控えめな、長袖のパジャマ姿に着替え、普段着もジーパンに厚手の服だ。
「あん、こっちみんなダアホが」
そんなこと言いながらも、京夜は上機嫌だ。
今日の話し合いが成功したのが嬉しかったようだ。
機嫌を損ねないよう、給任に徹し、皿を洗った後自分の家に帰り、読書をした後風呂に入り就寝する。
代々がこんな感じだ。
会談の時間を、ダズニーランド建設をしたり、休みの日は近所の壊れたものを直したりしているが。
次の話はきっと王族が来る日だ。
物理的に首が飛ばないことを祈ろう。
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