8回目17

時刻は朝6時。俺はサヤの家で朝ご飯を作っている。




 今日のメニューはコーンスープにふわふわパン、カリカリオークのベーコン。




 コーンスープはトウモロコシの粉から作り、パンは、イースト菌から作った手作りだ。




 二十分程度で手早く作り、京夜を起こしにいく。




 京夜の部屋は、新しく改築した二十畳の豪華な部屋で、ベッドや調度品も一級の物を用意した。




 お金は京夜がダズニーランド関連で稼いだお金で買ったものだ。まぁベッドは俺が指示されて作ったけど、ほんとミリ単位の作業で大変だった。




 部屋の扉を三回ノックする。扉には貼り紙が張っていて「無断で開けたら殺す」と書いてあった。




 一回ノックせずに入ったら着替えの最中で、半殺しにあった。白のキャミソールが可愛かった。




「朝食できただ」




 次に声で呼びかける。




 反応なし。




 もう一回ノックして、反応なし。




「はいるだだ」




 このルーティンを行ってようやく中に入る。




 大抵は起きない場合が多い。




 天蓋付きのキングベットですやすやと京夜は眠っていた。




 水玉模様のパジャマ姿。




 今日もかわいいぜこんちくしょう。




 黙っていれば超絶可愛い。




 写メで永久保存したいが、残念ながらスマホが電気切れでない。




 バナナの抱き枕をぎゅっと握っていた。




 俺は京夜を軽く揺する。




「起きるだだ」




 ゆすゆす。




 起きない。




 今度は強めに揺すると、だんたんと目が開いてきた。




「おはようだ」




「おはよぉ」




 京夜は低血圧で起きがけはいつもこんな感じだ。




 甘えた声が何ともいい感じだ。




 これぞ朝の特権、早起きは三文の得。




 京夜が正常に戻る前に退散する。




 十分ほどで京夜が降りてきた。




「ぶー、目玉焼きを作れ」




 暖めなおした料理を座った京夜の前に置き。




「わかっただ」




 京夜のリクエストを了承し、目玉焼きを作る。




「ブー、今日は三時からダズニーランドの事について行商人との会合がある。遅れたらぶっ殺すからな」




「分かっただ、遅れないようにいくだ」




 京夜が食べた皿を洗い、英雄ギルドに出勤する。




「おはようだ」




「おはようブータン、今日も書類が溜まっているからよろしくね」




「ははは、お手柔らかに頼むだ」




 俺は苦笑いしつつ事務室に入る。




 白い巨塔ならぬ書類のエベレスト。




 おかしいな、昨日全部片づけたはずだが。俺の目が腐ってしまったのか。




 目をゴシゴシしても、頬を抓っても変わらない。




 現実逃避しないでさっさと書類を片づけよう。




 三時までに終わらなければ待っているのは・・・・・・想像しただけで背筋が凍る。




 思っていたとおりというか何というか、案の定四割ほどがコルナが担当する案件だ。




 いつものことなので、黙って書類を書く。俺はできる男が。




 二時半まで、書類書くまんとして、ノンストップで怪獣(書類)と格闘してぎりぎりで終わらせた。




「書類終わっただ。今日はこれで帰るだ」




「ありがとね、明日もよろしくね」




 コルナに一言挨拶して、俺は急いで待ち合わせ場所に向かう。




 と言っても、サヤの家だが。




 早歩きで十分前につき、会談を行う応接間に入る。




 ここも増築した一部で、ソファーにテーブル、センスがいい物が置かれている。




 もちろん選んだのは京夜だ。俺のセンス? 史香や野子は模様替えを行ってたな。




「遅いぞブー、もう少し遅かったらちょきんちょきんの刑だった」




「ごめんだ。書類が多く手間取っただ」




 何とか、行商人がくる前についたようだ。




 五分ほどで行商人がくる。




「お待ちしておりましたギャン様。こちらにお座りください」




 京夜と俺は行商人を出迎えして、上座に座るよう促す。




 そうそう、行商人の名前はギャンだ。8回目にしてようやく名前がでた。




 一回目の時から知っていたが、出すタイミングがなかった。村人の名前も全員知ってることは知ってるが、出しても知りたくもないだろう。例えば親方の名前はマイケル、リキ、アルー、村人のサイモン、セッズ、タッチ、ユア、ヘッド。




 名前が多すぎて誰か誰かがこんがらがる。




 だから、行商人の方が分かりやすいので、普段は行商人として表示する。




 そして、今日はダズニーランド関連の最終調整だ。


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