8回目13
「じゃあ、昼飯に行ってくるだ」
やってきました昼休み。俺はコルナにことわりを入れて英雄ギルドを出た。
今の俺の顔はいつも異常に酷いだろう。
自覚はある。
だって仕方ないじゃんか、来年超絶イケメンチート主人公の二階堂が来る。
俺と二階堂どっちに女の子が寄ってくるかといえば、間違いなく二階堂だ。
イケメンで誰にも優しく、身体能力もピカイチでカリスマ性があってチート持ち。
俺が女だったら真っ先に惚れてしまう。地球でもあったことはない、パーフェクト・ヒューマンだ。
二階堂の良い事を書けと言われたら原稿用紙十枚は書ける自信がある。
最終決戦で負けたのが信じられないほど、二階堂を信頼している。それは野子達も同じだが、あの戦力で勝てなかったら、どうやって勝つのか不思議なぐらいだ。
話が逸れたが、今年しかチャンスはない。なにがって決まっているじゃないか明○君、恋人だよ恋人。ループをあわせると、精神年齢は、もう五十歳近い。何というか、地球であったの説が正しければ、俺は大魔法使いか賢者だ。
恋に恋する女子じゃないですけど、俺だって、一回くらいわと叶わない夢を見ている。
ちなみに初恋はしている。
定番だが幼稚園の時先生にだ。
面白くないって、好きになったもんは仕方ないじゃないか、どこぞの不倫したゲス男と同じ良いわけをしてみる。
子供なのを良い事に色々やった。先生がスカートの時はめくったり、尻触ったり胸を揉んだり、大人がやったら一発レッドカード、警察行きだ。
そして先生は一ヶ月で辞めていった。
俺の黒歴史の一つだ。
いつも以上に人が寄ってこない。「ああ、もうそんな時期かと」聞こえた気がするが、構わず探し回る。
見つからない。村の中にはおらず、俺が召還された場所も見たがいない。
今年も空振りか。日にちは毎年同じ日だが、召還される場所はランダムで、三年連続同じ村の近くにくること事態珍しいらしい。
がっかり感がハンパない。フルマラソンを走ったぐらいの疲労感がおしよせる。
帰るか。
頭を垂れながら、とぼとぼと英雄ギルドに帰る。
計画を早めて今年ツヴァイに行こうかな。
そんなことを思いながら。
村人のおじちゃんおばちゃんから励まされ、幾分か気持ちを持ち直し、英雄ギルドの前で立ち止まる。
中から声がする。
俺が地球人を探しに行くとき、中はコルナ一人だけだった。
扉に耳を当て、澄ませると、どうやら俺が初めて来たときと同じような説明をしている。
まままままさか。
おそるおそる、扉を開ける。
はっ・・・・・・、天使か。数秒意識が飛んでいた。
そう幻想するほど神々しく美しい。もう人間のレベルを超えている。
身長は160センチほどか、腰まである絹のようにさらさらに見える金色の髪。そして黄金比の後ろ姿。
外国人かなと勝手に予想する。
「かっかっ、帰ってきっきっただ」
思春期の男子か。みっともないくらいどもりまくる。
めちゃくちゃはずい。俺の顔は赤を通り越してマグマに近い事だろう。
思考回路はショート寸前だ。
二人も話を中断し、女神は振り返る。
男だった。omg、俺の女神は死んだ。
その顔に見覚えがあった。何で忘れてたんだろうか。
外人ではなく、1回目の時、二階堂のパーティーに所属していた、右腕敵存在。
名前は伊集院 京夜。
男装の麗人とかではなく、正真正銘の男。
なぜなら京夜は伊集院財閥の一人息子で、テレビなんかでよく取り上げられていた。
顔も凄く可愛い。小顔で可愛らしく、雪のように白い。言われなければ女性だと間違う。女性も嫉妬するほど容姿の持ち主。
声も聞いたことはあるが、アニメ声で高音だ。
ホント、女の子だったら、俺的ドストライクの要素が詰まっている。
しかし近よりがたかった。思い返しても京夜は二階堂以外と話している事をあまり見た記憶がない。ヒッキーだった俺なので他で話しているのかもしれないが、あまり良い噂もない。
それは。
「何、この豚まんじぇろ。顔が腐るからこっち見るなよ、このぼげが」
口が悪い。自分より容姿が優れてないものに対し見下している。
「すみませんが、彼はここの従業員ですので」
「うっせぇブス、俺様に指図するな」
誰に対しても噛みつき、俺をフォローしたコルナに対しても罵倒した。
一回目の時、誰かれ構わず噛みつくことから『狂死犬』と陰で噂されていた。
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