8回目06
時刻は深夜今日は第三回攻略会議の日で俺はテストとにらめっこしている。
どういうテストかって。
それは・・・・・・。
第一問
あずさ、史香、永遠、真理の好きな食べ物は?
第二問
あずさ、史香、永遠、真理の高校の部活は?
第三問
あずさ、史香、永遠、真理の性格は?
と計十問ある。
一体なにをやらされているのだろうか。
やっている俺も不思議だ。
攻略会議一回目の一週間後、史香が持ってきたのは四冊のノート。そこにはびっしりと四人の情報が書き込まれていた。恋愛シュミレーションゲームもびっくりな設定資料集だ。
自分の事以上に四人の事を知ってしまった気がする。
怖っと思ったのも仕方ないだろう。あずさや他の人に言ったら、どうなるかは、目で語っていた。
十問中九問正解で合格点をもらえ、第二回攻略会議の時もテストをしたが、八問正解で惜しくも不合格となり、そこから先は考えたくない。
一つ言えることは、史香は俺に対し、超超超ヤンツンダ超超超超SSだ超超超スパルタだ超超超超鬼鬼だ。
ラブ○ボリューションならぬヤンエボルーションだ。
史香の将来が心配だ。
クリアできない恋シュミの攻略法を必死になって覚えている気分だ。
俺が○キメモの世界に入ったら、デートの約束は取り付けられるが、デート当日魅力が足りなくて、速攻帰られるパターンのやつだ。
テストもなんやかんやで残すは後二問。
ここまでは、全部正解できたと思う。前回も八問目までは正解できた。
問題はここからだ。
第九問
高校一年五月九日に起こった共通のイベントは?
第十問
小学五年八月四日あずさが文香に言った言葉で嬉しかった事とは。
全問クリアーしたら君もこのゲームのマスターだ。
特に十問目。重要なイベントに思うかもしれないが、ふつうの日常の一コマだから。
ノートを一字一句覚えてないと分からない。
癖が凄すぎる。
だがしかし、ここ一ヶ月の成果ですらすらと書く俺ってすごくない。
変態豚ストーカー?
うん、書いてる俺もどん引きだ。
ケアレスミスがないか確認し、史香に渡す。
受け取った史香が赤ペンを持って採点している。
運命の瞬間だ。
二回連続で不合格だとなにをやらされるか。
考えただけでも恐ろしい。
時間にして二分。史香の採点が終わったようだ。
「全問正解。よくできました」
史香が褒美として俺の頭をなでなでしてくれた。
それだけで俺はいけそうな気がした。
我ながら単純だ。
「そろそろおらにも話してもらえないだか」
理由も聞けないままとりあえず覚えたが、合格した今教えてほしかった。
史香は相変わらずの無表情で、顎に手を当て思案している。
「人と付き合う上で何が必要か、ブーは分かる?」
いきなり哲学的内容だ。フロストかこうしになった気分で考える。
やはり六種の神器かな。
見た目、地位、お金、カリスマ性、コミュニケーション能力、運。
精密カラオケ風にグラフで俺を表すと、まぁ~三十点は欲しいところだ。
とまぁ、それはおいといて、さっきのは大人の付き合い方で、史香が聞いてきたのはおそらく違う。
テストの内容と照らし合わせると。
「情報だか」
確かに考えてみればあのノートで四人の性格は嫌というほど分かった。
警察で言うとこのプロファイリングに近い。
今なら、何が起こっても、四人がどう言った行動をするのか分かる気がする。
確信を持って史香を見るが。
「ブーってストーカー?」
違うんかい! 思わず○元新喜劇ばりにづっこけそうになる。
史香も心なしか軽蔑の視線だが、ここ二ヶ月の成果か俺には分かる。
「おらをいじめて楽しいだか」
絶対に楽しんでる。
「ばれたか」
悪擦れもせず史香は言う。こうやってスムーズに言葉をはっせるもの史香のおかげだった。
最初の出会いからしてやばかったが、二回の攻略会議を経て、ある程度言いたいことも言えるようになった。
JKとこんなに話したのは生まれて初めてだ。
二年ほど前だったか、同年代の従妹に最後に言われた言葉は『臭い、汚い、死ね』だった。
電話越しなのに酷すぎる。
「人と仲良くするために必要な事は相手を知ること。相手の趣味趣向、性格、行動。それらを知ることで、NGワード、嫌いな性格、行動を回避できる。つまりゼロになっても、私達が関わる死亡プラグは回避できる」
なるほどなるほどなるほどなと俺は思う。あずさは思っていたとおり、綺麗好きで極度の男性不信。そのエピソードも書いてあり、俺でもそれに遭遇したらそうなってしまうぐらい非道いものだった。
史香は仲間思いで、線引きがあり、その線引き外には容赦ない。特にあずさ、永遠、真理三人に害をなすものに対しては。
だから、史香は容赦なかった。あずさを見殺しにした俺に対し。
というように、ある程度は分かるようになった。
「じゃあ次これ」
どんと置かれたのは、広辞苑ほどの厚みがある、積み上げられたノート。
それが四セット。
へっ?
「私達は一ヶ月後、真理ちゃんと永遠ちゃんを探しに行く。それは帰ってくるまでの宿題。もしできなかったら」
それはそれは身の毛もよだつほど凶悪な笑顔だった。
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