4回目03
どんよりした空気。俺が話し終わってから、誰も何も言わない。
「えっえっーと、サーヤ、難しすぎてよく分からないけど、サーヤって結婚してるぅ~?」
サヤが場の空気を変えようと、明るく話し始める。
本当にできた俺の、俺の、オレの娘だ。
「結婚しているだよ。未来のサヤも玉の輿だって喜んでいただ」
そう言って貴族と結婚したことを話す。
喜ぶと思っていたが、逆で顔面真っ青だ。
「どうしただ」
疑問に思った俺は聞くと、その貴族は、ドSで良い噂は聞かなく、気に入った女性を嫁に貰っては壊すまで玩具にするらしい。
そう言えばと俺は思う。
一回目、そう言ったサヤの体は震えていた様な・・・・・・。
そんな人物とは知らなかった。イベントは今から七年後の出来事なので十分時間があるとサヤを宥めた。
また一つバッドエンドが追加された。
とりあえずそれはおいといて、半年後に迫ったあずさの事だ。
コルナは頭を手で押さえている。
「確認だけど、半年後にあずさという異世界からきた少女がきて、宿屋に泊まらせると、勝手に一人でサマンサの森を抜けようとして、ブラッディベアーにやられる。その場合ツヴァイからきた友達の史香になにかしらの方法で殺される。確かに男性恐怖症で潔癖な所がある異世界人、まして少女にはつらいわよね。私だってサヤの家に泊まった後、自分の家に帰るの気が重いもの。サヤの家に泊まったら一月後、自動的ブラッディベアーが村を襲う。唯一の攻略法は、史香を怒らせてルール違反を狙う。いくら金額を上げても女性冒険者は誰も来ない。あずさを説得しようにもさっきの理由で聞く耳を持たない。これはあれね、はっきり言って八方塞がり、縁がなかったと思って諦めましょう」
「それは嫌だだ。おら何としても助けたいんだ」
「言ってみただけよ」
絶対、本気だったと思うのだが、つっこむことはしなかった。
それから案はいろいろでた。
ツヴァイにいる史香に連絡する。
ブラッディベアーを討伐する。
村の戦力を上げる等々。
残念ながら、三回目に案に出たものは全部やった。
史香は一ヶ月以上ツヴァイから離れない。これは確定だ。レベルが足りないのか、お金がないのか、はたまた別の理由か分からないが、とにかく来ない。
ブラッディベアーの討伐は前回、討伐依頼を半年ほど前から出していたけど、期限までに誰も受けない。
村の戦力を上げる? 只でさえ不人気の村で常駐の冒険者も少ない。来ただけで都落ちと揶揄されるほどの村にどうやって戦力がくるのだろうか。
俺とコルナが難しい顔をしていると、不思議そうにサヤが言った。
「サーヤ思うんだけど、ブータンがツヴァイに行ったらいいんじゃないのかなぁ~」
子供は発想が柔らかい。
思わず俺ははっとする。その考えはなかった。
「凄いじゃないサヤ。半年後あずさが来たら、サヤの家に泊めて、ブータンはツヴァイに行って原因を探る。これでひとまず前へ進めるわ」
誉められたサヤは胸を張り得意げな表情だ。
少なくても、回避できるきっかけにはなる。その後もあれこれ話し合い、サヤがうとうとしてきた所で終了した。
「あのさ、わっわたしは結婚してるの」
よほど聞きたかったのか、コルナは喰い気味に質問してきた。
もしかしたら自分は結婚してないのかもしれない可能性も考えて、サヤが起きている時は我慢していたのだろう。
コルナの顔を見ると、赤みかがっていて緊張していた風だ。
「コルナはサヤが結婚する二年前にしているだよ」
そういうと、コルナはほっとして、そして身を乗り出してくる。
「で、誰なの? 早く教えなさい」
あまりの迫力に俺は若干引き気味だ。俺は思い出しながら口にする。
「誰それ」
どうやらまだ出会っていなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます