3回目07

 きつい、きつすぎる。




 人間、一度上を知ってしまったら、下に行くのは何とも耐え難い。




 臭いがねぇ~何つぅ~かね~あれなわけですよ。




 あ~~やっちまったなぁ~。




 言うなれば、風呂に入った後、肥溜めのプールを泳ぐみたいな。果ての村の宿屋だとそんなものかもしれないし、一周目は馬小屋に二周目はここに泊まっていたのだが、うちの家最強説が立証される結果となった。




 ぶつぶつができて、臭すぎて寝れない。このままじゃノイローゼや鬱になる。二周目あずさの様子がおかしかったのが、身に染みて分かる。




 結局、三日でダウンして、コルナさんに頼み込んで、事務室で寝泊まりすることになった。




 これ以上あそこにいたら、精神的におかしくなる。よく十年もいれたと、自分自身に感心する。




 一月が経過したが、あずさはもめることなくクエストを行っている。




 その事に俺はひとまずほっとする。




 あずさ攻略計画、衣と住を安定させる作戦は成功した形だ。ギャルゲー的なことじゃないぞ。まぁ、サヤからちょくちょくお金をせびられながら話を聞いているが、好感度は上がっているらしい。あずさがかなり感謝していると聞いた。




 これで俺の容姿や会話力が高ければワンチャン恋愛的なことに発展したかもかもだけど。




 結局俺はブータンで地球賢者で超絶恋愛ビギナーだったってことだ。思ってて悲しくなる。




 それはおいといて、なぜか今回、薔薇の園のパーティーが一週間後来てくれることになった。




 肩の荷がおりた。ブラッディベアーの情報もそれとなくコルナに言い、ほかの冒険者の目撃情報から、討伐のついでに護衛依頼を受けてくれた。




 つい先日の話だ。その事をコルナが話し、あずさは嬉しそうにしていた。




 このバットエンドは回避されそうだが、なんだか嫌な予感がする。




 別に第六感やシックスセンスは無いけれど、三回死んだ勘は馬鹿にできない。




 見逃しはないはずだ。あずさが単独でサマンサの森の深部に行く気配はなく、ユニークモンスターは討伐される。重要なポイントはそれだけのはずだ。






































 誰かが言った。それはフラグだよと。




 翌日攻めてきた。




 誰がって?




 それは・・・・・・。




















「ぐぉぉぉぉぉぉぉ」




 けたたましい雄叫びとともに、俺は飛び起きる。




 アラームじゃない。




 着替えるまもなく俺は表に飛び出す。




 まさに地獄絵図だ。




 村は蹂躙されていた。一匹のモンスターによって。




 村の防壁は壊され、死体が散乱している。




 むせかえるような死臭、凄惨な光景に吐いた。




 こんな事はなかった。




 何故? そんな事よりサヤとあずさは。




 がむしゃらに走る、目的地はサヤの家だ。




 無事でいてくれサヤ、あずさ。




 あっ。




 来た瞬間分かった。




 潰れた家。




 あっ。




 サヤがいた。家の下敷きになって、動く気配はない。




 あっ。




 ブラッディベアーがいて、大きな口にはあずさの亡骸が。




 どうしてこうなってしまった。一体なにを間違ったんだろうか。




「あぁぁぁぁぁぁぁ」




 最後に映った光景は、ブラッディベアーが爪を振り下ろした所だった。
































 RPGや異世界物には必ず死ぬキャラがいる。例えレベルをあげても、どうあがいてもその事実は変わらない。




 因果律、運命線と言うべきか。




 何時間何年経っても、どんな方法をとっても、世界の強制力が働く。




 イベントが変わるだけで、




 その人物は確実に死ぬ。




















 四回目。いつもなら生き返ったことに喜ぶが、今はそういう気になれない。




 俺は心底疲れ果て、森にどっかりと座る。




「おら、どうすればいいんだ?」








 バッドエンド四;ブラッディベアーの襲撃。

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