3回目06~あずさ視点02~
この世界に来てからある夢を見るようになった。
それは私が死ぬ夢だ。
夢で見る私はやつれ、足取りもどこかぎこちない。
場所はおそらくサマンサの森だ。浅瀬は何度も行ったことがあるので分かる。
そこで大きなモンスターに襲われ死んでしまう。なにもできないまま、恐怖と絶望にまみれた顔で。
今なら分かる。これはおそらく分岐された私なのだと。
この世界に来てから三週間が経過した。泊まる予定だった宿屋を見せてもらったが、絶句しかない。
まずはトイレの臭い。鼻がひん曲がりそうだった。ボットンなので他人が出したあれも見えて吐きそうになった。
次に部屋の衛生面。シーツや布団は新鮮だが、じめじめしていて、全体にウジが沸いており、変な虫も行き交っている。サブイボがでそうだった。
そして風呂は井戸で水浴びするしかない。誰が見てるか分からないし最悪だ。
改めてサヤちゃんの家に泊まれたことに感謝している。
トイレにはハーブのいい匂いたちこめ、足いっぱいに広げられる木の風呂。
清潔な部屋で虫一ついない。
アメニティグッズや化粧品も用意してあった。日本製に比べたら落ちるけど、そんなこと言ったらばちがあたる。それほど至れり尽くせりだった。
同居人のサヤちゃんも可愛い。少しおませさんでお金をちょうだいされるけど、その表情が何ともまたいい。妹に欲しいぐらいだ。
そしてブータンさんを信頼している。
サヤちゃんが誇らしげに語ってくれた。いかにしてこの家を作ってくれたのかを。
ブータンさんは良い人だった。この生活を知ったら、自分は宿屋で暮らして誰かに譲るなんて口が裂けても言えない。同じ状況になって、友達に譲るのも無理だ。最も友達は女子だけだから共有すると思うけど。
ブータンさんには本当に感謝している。サヤちゃんに言伝を頼んでいる。
面と向かって言うのには、ハードルが高いけど、最初にあった嫌悪感は全くなく、むしろ尊敬していた。
レベルの方も順調に上がっている。
今のステータスはこんな感じだ。
名前:柊 あずさ
職業:アーチャー見習い
称号:幸運者
レベル:3
ステータス
筋力:4
敏捷:6
体力:4
知力:2
魅力:60
生存人数(28/34)
貢献度:15(14位)
小学校から弓道を習っていて、中学三年生の時、全国大会で三位に入った。
モンスターを倒すときは弓を使っている。
最初はかってか違ったので苦戦したが、今ではちゃんと狙った所に命中する様になった。
本音を言えばもっと良い弓が欲しかったが仕方がない。
レベルやステータスは100が最高らしく、表示されないだけで、その上もあるらしい。
ステータスの数値は、地球に居たときからのプラス補正で、最初のステータスは同じだが、能力の差に開きがあるらしい。
スキルも覚えた。モンスターを倒し時や、レベルアップした時に頭に流れ込んできた。
スキルはステータスと同じように、念じれば表示される。
覚えたスキルは三つ。
アローショット
ダブルショット
ブレイクショット
スキルステータスはこんな感じに表示される。
アローショット
○通常の弓より強度がます技で最も一般的な弓スキルの一つ
ダブルショット
○弓矢が二つに分裂する技。分裂系の初歩的なスキル
ブレイクショット
○弓矢が当たったところが爆発する技。威力は初級魔法クラスのスキル
固有スキル
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固有スキルはレベル五になったときに解除されるらしく、ふつうのスキルとは段違いの性能らしい。サマンサの森を抜けるのにレベル五以上必要なのはそのためだ。熟練度や他色々あるが、それはまた今度。
そして生存人数。日々減っていく事に心を痛めている。史ちゃん、永久ちゃん、真理ちゃんは生きているのか不安だ。探したい、探したいよ。でもレベル五になるか、依頼している女子冒険者がくるまで我慢している。
近況としては以上だ。
書き終わった日記を閉じ、出かける準備をする。
今日も一日頑張ろう。
私は気合いを入れ、部屋を後にした。
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