3回目05~あずさ視点01~


 私の名前は柊あずさ、高校に通う男性恐怖症のJKだった。




 その日も、史香ちゃんと一緒に登校して、ホームルームが始まるまで永久ちゃんや真理ちゃんと一緒になって喋っていた。




 いつもの光景だ。ここは女子校なので男子の視線も感じず、担任の教師も女性だ。ほんと男子なんて死ねばいいのに。史香ちゃんは人形系の美少女で永久チャンはショートボブに小麦色の肌で筋肉質なスポーツ系元気娘、真理ちゃんは眼鏡をかけ、左目下に泣き黒子がある、インテリ系ミステリアス美人と、ジャンルは違うけど、不思議と馬があい、いつも一緒にいる。




 担任の教師が来て、席に座り気付いたら森の中にいた。




 強烈な光が視界を奪ったことは分かるが、他は覚えていない。




 どうしよう。




 あたりを見渡しても誰もいない。史香ちゃんも永久ちゃんも真理ちゃんもいない。




 史香ちゃんがいれば、頼もしく永久ちゃんがいれば元気になり、真理ちゃんがいれば導いてくれる。でも今は一人だ。




 こんな森記憶になかった。




 道なりに行こう。




 留まっても仕方ないので、とりあえず動くことにした。




 幸い道は合ってたみたいでどこかの村に着いた。




 二択の内の一択、ほとんど勘の五十%。真理ちゃんなら『運が良かったわね』なんて言うだろう。




 なにわともあれ、着いたから良しとしよう。




 村人の格好をみて確信した。ここは異世界なんだと。ラノベは結構読んでいる。恋愛系やら転移系やら色々だ。そこに出てくる服装と似ていた。




 今時、布の服とズボンなんて無い。




 男の人を見ると隠れ、女の人に話しかけようとするが、うまくいかない。




 そして、どうしようかと考えた時、目に飛び込んできたのは、同じ世界と思われる人だ。




 気持ち悪い。顔が青ざめ蕁麻疹が出る。




 何故ならその人は男で、例えるならアキバ系ブ男、でっかいリュックサックが似合っている、大きな太鼓腹と饅頭みたいに膨らんだ顔。普通の男の人でも声をかけられないのに、ハードルが高すぎだ。




 あっちから話しかけてきたので助かった、どうやら、私達みたいな人を助けてくれる所があるらしい、ひとまず助かった。




 非常に嫌だけどその男について行くことにした。




 そこは英雄ギルドと言うらしい。良かった受付の人は女の人だ。




 私は案内してくれた男の人にお礼を言いたかったけど、顔を見ると、声が震え硬直してしまうので、心の中でお礼を言う。




 ここまでつれてきてくれてありがとうございます。最初に外見で判断してすみません。




 男の人はブータンさんと言うらしい。神が決めた名なので変えることはできず元の名前は言えないらしい。




 私は普通だったのでほっとした。




 それから、ブータンさんがまだいることに『気持ち悪い、早く何処かに行けばいいのに』と気になりつつも、受付のコルナさんと色々と話した。




 厳しい。この村の現状を聞いてるうちに涙が出そうになった。汲み取り式って一体何時の時代? お風呂は無く、化粧品もない、月のものも布で何とかするなんて最悪、吐き気がしそう。大きな都市に行けば、全部揃うと言ってたけど、私の希望通りだと一~二ヶ月はここで生活しなければいけないとコルナさんに言われた。




 理由は女性冒険者限定だと言ったからだ。男の冒険者と同じ空間を過ごすなんて無理だ。例え二日間だけだったとしても。




 史香ちゃん永久ちゃん真理ちゃんの捜索をお願いして、一段落したところでブータンさんが声をかけてくれた。




 水洗式のトイレと風呂がある。




 最初私はものすごく警戒した。殺気もだしていたかもしれない。過去のトラウマ、襲われると思ったから。




 だって、誰だってそう思うでしょう。トイレ、風呂がある、俺の所に来ないか。このワードで、警戒しない方が無理だ。




 慌ててブータンさんが弁明したので、少し警戒を解き、家に向かった。




 サヤちゃんと顔合わせした後、家の中を見せてもらった。清潔感に溢れ、ゴミなど無くトイレやお風呂も嫌な臭いもせず、木の風呂は私の家よりも豪華に見えた。そして私が寝泊まりする場所。八畳ほどで、中から鍵がかけられ、ピンクを基調とした外装、ふかふかのベッドに、タンスには、下着や衣服が取り揃えていた。




 下着はシルクで肌触りも良い。服もワンピースタイプが多いが、布の服より数段良い。




 試着してみたが、着れた。




 良かった、これで当面は大丈夫だ。




 安心して私は眠りについた。

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