2回目07

なにも解決しないまま三週間が経過した。前回同様、あずさは離ればなれになった友達を捜していた。




 話したいのに話せない、あずさから近づくなオーラが出ており、最短で十メートル以内に入ることができない。




 テリトリーかよと思うぐらいに。絶対領域といっても過言ではないぐらい、十メートルまで行くと、こちらを不愉快そうな顔で見てくる。




 これじゃあ前の二の舞だ。




 幸い、英雄ギルドで働いているため、あずさがいつ出発するか分かりそうだ。




 一応やることはやっている。




 かなり痛いが、コルナに女性冒険者のチーム限定で、ファスト村から次の中堅街『ツヴァイ』までのあずさの護衛の依頼を二週間前に頼んだ。




 実は言うと、あずさが言った次の日には、ツヴァイであずさの友達が英雄ギルドを訪れたと情報が入ったが、今は口止めしているらしい。




 理由は危険だからだ。




 俺もそれには賛成だ。前回の悲劇を見ていただけに。




 俺負担で、金貨二枚でツヴァイで依頼しているが、受注を受けたと連絡がこない。




 冒険者の人数は、ここより五倍ほどの多く、女性の冒険者もいるらしいが、状況は芳しくない。




 最初は金貨一枚で、一週間前に金貨二枚にあげた。金額を上げるべきか。




 通常のツヴァイまでの護衛依頼だと銀貨十枚だ。そのことを鑑みると破格の金額だ。




 それだけ女性冒険者が少ないのかもしれないな。金貨五枚まで出せるが、俺の事でもないのに、痛すぎる。




 そんなこんなで英雄ギルドに着くと、言い争う声が。




 またかと。ここ最近見慣れた光景だ




「だから言ってるじゃないですか。貴女の実力だと、一人でツヴァイに行くのは危険です」




「なら女性冒険者はいつ来るの。何回もお願いしても未だにいい返事はないですよね」




「ですから、今ツヴァイや王都『ツリー』を始め近場の冒険者ギルドに依頼している所です」




「私も強くなりました。森を抜けるぐらいなら一人でもできます」




「英雄ギルドのルールで、最低でもレベル五にならないと単独で、森を抜けて、ツヴァイに行くのは禁止されています」




 あずさとコルネが言い争っている。




 ここには娯楽もなにもなく、JKにはひどく退屈だしツヴァイに行けば何かわかるかもしれないと、早く行きたいあずさと、危険だからと引き留めるコルネ。




 う~ん、キャットファイとは外野だからこそ見ていたいのであって、中にはいるのは遠慮したい。




 そういうわけにもいかず、俺は扉を開く。




 するとあずさは敏感に反応し、俺を睨みつけ裏口から出て行った。




 八つ当たり怖っ。おじさん精神的にノックアウトだよ。




「いっいらいらしてたんだなあずささん」




 コルネは机をとんとんと叩きクールダウンしているようだ。




「若い子ってどうしてあんなにわがままなのかしらね。自分のお金でわないのにブータンがせっかく自腹で護衛を捜しているのだから待ってればいいのに。自分の主張ばっかり。やよねまったく」




 コルネがぷりぷりと怒っている。その頬をつんつんしたいが自重する。理由は後が怖いからだ。




「やっやっぱり、護衛はまだ決まってないんだな」




「そうね、近隣には依頼を出しているけど、状況は芳しくないわね。パーティーに一人は女性の冒険者がいるって言うのなら何件かあったのだけど、全員が女性冒険者だと難しいわよね。有名所だと『薔薇の園』だとか、『アスタリスク』ね。女性限定のクランやパーティーはあるけれど金貨二枚じゃたりないしね」




「えっえっと、なっ何枚ぐらい必要なんだな」




 ごくりと唾を飲み込む。




 金貨三枚でも一流所は無理だが中堅所はゆうに呼べる金額だ。レベル五だとようやく駆け出しを卒業したぐらいだ。




 一体いくらぐらいかかるか不安だ。




 そう言うと、コルネがおかしそうに笑う。




 おもしろいこと言ったつもりはなかったのだが。




「今言ったクランはこの国で二十位以内に入る超有名所よ。この国の女性冒険者の憧れのクランで、駆け出しの女性冒険者はいつかどちらかのクランに入れることを夢見るの。だからこんな田舎に来るクランじゃないのよ。いくら入ったばかりの新人でも、どんなに金を積んだとしてもね。同じ理由で傭兵ギルドも駄目ね、格が落ちるといってだれも気やしないわ」




 いよいよ困ってシマウマになったと俺は頭を抱える。




 もはやあずさバッドエンド確定だと。既にサヤバッドエンドは確定しているが。


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