2回目04
二日後葬儀が行われた。
葬儀は地球と同じ火葬だ。遺体は棺に入っている。
村唯一のよぼよぼの神父のほか参列者は俺とコルナの二人だけ。ほんとに寂しい葬儀だ。
俺の服装は礼服だ。あれから金貨で礼服を買った。手痛い出費だが気にしてない。髪型も整え無精ひげも剃った。
だってきちんとしないとだめだろう。前回はかっこわるいところばっかり見せていたけど、俺はきちんとできるんだぞって、サヤがいなくても大丈夫なんだぞって見せるために。
コルナはトーク帽に黒のベールに黒のワンピースにカーディガンを羽織っている。
顔色は悲しげで、俺がいるからか涙を堪えている。
段取りとしては、花を添えた後、神父が聖教を唱え、着火の呪文で棺を燃やす。
「サヤを救えなかった。ほんとにほんとにだめなお姉ちゃんでごめんね。あっちで幸せに暮らしてね。サヤはしっかり者だからきっと大丈夫ね。お姉ちゃんも少し後に行くから」
最後の別れ。とうとう堪えきれなくなったのだろう。前回の時は一度も見なかったコルナの涙。なんだかんだで、前回の時はサヤの事を気にかけていた。サヤも口ではぶーたれていたが、小言をいう姉と、素直になれない妹の関係に見えた。
俺にも文句を言いたいと思う。何で救わなかったのとか、あんたのせいでサヤは死んだとか。しかし、コルナは何も言わなかった。それがかえって、俺の心がいたむ。罵倒された方が精神的に救われたがコルナがそういう性格ではないことを、俺は良く分かっていた。
コルナは姉御肌で面倒見が良く、責任感が強く、誰かのせいにはしない。
そして、俺の番になった。
俺はサヤが好きだったカスミの花を添える。
ごめんなサヤ。もし三回目があるとするなら必ず救うから。もう少し待っててくれな。
俺はまだ死ねなかった。本音を言えば今すぐ三回目に移りたい気持ちもあったが、十年後何があったのか、重要なイベント等、俺は何も知らなさすぎた。この村で全てが完結していたからだ。
そして、神父が聖教を唱え、着火の魔法で棺を燃やす。
サヤが燃えている。
俺には泣く権利はないのに。
「サヤァァァァ!!!」
こんなん堪えきれねーよ。膝から崩れ落ちみっともなく泣いた。
やっぱりサヤが居ないと心細いよ。
サヤの笑顔を思い出し、わんわん泣く。大の大人がみっともないかもしれないが、その人にとって大切な人物を失ったら、何歳でも関係なく、涙がでるものだ。
コルナもそんな俺を避難することなく、涙を流しながら、俺の肩に手を添えた。
神父は終わったとばかりにさっさと帰って行く。今日来てもらうのに、棺の購入費と併せて銀貨五枚を支払った。もうちょっと何かあってもいいと思う。
そして次の日、俺は重大な決意とともに英雄ギルドの前に来ていた。
「ご用件は何でしょうか」
コルナの目下には隈と涙後があり、あれからも泣いたんだなと容易に想像できる。それでも気丈に振る舞っていた。強いなと俺は思う。
かく言う俺は、言葉が出てこない。あんなに決心したのに、砂糖のようにもろく甘い。
気合いだ気合いだ気合いだ気合いだ。
俺は
俺は
俺は!!!!
ニートを辞めるぞぉぉぉーーー○ョジ○ーーーー
「あっあの、おっおら、ここで働きたいんだな」
言った。とうとう言った。
言ってしまえばこっちのものだ。
英雄ギルドにはルールの一つに、異世界人が望めば、よほど素行が悪いものじゃない限りギルドの職員として迎えなければならない。
これも非戦闘員の支援の一貫だった。
コルナは目線を合わせ。
「分かりました。ブータン様を私の権限で登用します。馬車馬のように働かせますので、覚悟してください」
それはもういい笑顔だった。
やっぱり無しってできないですかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます