〜それってデートのお誘い!?〜
みんなで駅まで向かっている途中で立ち止まった。三人の姿を見て、あたしには本当に頼もしい仲間がいるんだなと再認識できた。あたしの足が止まっていることに気づいたカケルに声をかけられた。
「どうしたの?」
「梨花ちゃん、如月くん、カケル助けてくれて本当ありがとね!!」
彼らに向かって深々と頭を下げた。みんなは笑顔で言った。
「いいよ。礼なんてさ、友達なんだから」
「そういえば何か大事なことを忘れている気がする……」
そう言ってカケルがポケットの中をまさぐり始める。すると、中から赤いリボンが出てきた。失くしたと思っていただけに嬉しかった。
「コレ茜のだよな?今朝、玄関で拾ったんだ」
「ありがとう!!お気に入りだから嬉しい」
ゴムの上からリボンを付けた。カケルが顔を赤らめてあたしを見ている。
「それと謝らないといけないことがあるんだ……」
「なーーに?」
「茜の気持ちも考えず、たくさん告白してごめん!!事情を知らなかったとはいえ、アイツと同じことをしていたなんてさ。今思い出しても最低な行為だったと反省してる!!本当にごめんなさい」
彼は土下座をするんじゃないかっていう勢いで頭を下げた。あたしはその姿に思わずクスッと笑ってしまった。
「いいよ、もう気にしなくて。それに別に嫌じゃなかったし……」
あたしもここ最近、冷たい態度をとっていたことを謝った。
「あたしこそごめんなさい。事情があったとはいえ無視したり、素っ気ない態度だったりして……」
「気にするなよ。もう過ぎたことだしさ」
「うん、ありがとう!!」
お互いに謝罪を済ませて気が楽になった。カケルが何か言いたそうな表情をしていた。
「何?」と訊くと、言葉を詰まらせながら言った。
「あのさ……明日って空いてる?」
予定を訊かれてドキッとした。明日は土曜日だから学校は休み。とりわけ予定もない。だから、空いてるっちゃ空いてるけれども……。
「うん」
「良かった。イヤじゃなかったら、一緒に……出掛けないか?」
それってまるで……。
「デートみたいじゃない!?」
梨花ちゃんがそう言うと、二人とも顔が熱くなる。そうか、二人で出掛けるということはそういうことになるんだ……。
「あ……別に嫌だったらいいんだ。ただ、もっと茜と話したいなって思っただけだから……」
「いいよ。しよっかデート」
彼は嬉しそうな表情で頷いた。
「うん!!」
「じゃあ待ち合わせ場所と時間は後で決めよ。楽しみにしてるね」
みんなと別れてからRineで連絡を取り合った。
『行き先どこにする?』
場所を考えていたとき、脳裏に行きたい場所が浮上した。今日のお礼にあたしのお気に入りの場所へ連れて行きたいと思った。
『東京スカイタワーに行きたい!!』
『分かった。時間はどうする?』
『十二時に押下駅で待ち合わせしよ!!』
『オッケー。楽しみだね』
『あたしも』
東京スカイタワーへ行くの中学生以来だから、すごく楽しみ!!早く明日にならないかなぁ。興奮しているせいで普段より寝つきが悪かった。
※※
翌日、楽しみ過ぎて学校に行くのと同じくらいに目が覚めた。ウキウキしながら朝ごはんを食べているところをお母さんに見られてしまった。
「ここ最近落ち込んでいたけれど、元気になって良かったわね」
「うん!!それに今日はね、久しぶりに東京スカイタワーに行くんだ」
「気をつけて行ってらっしゃい」
「うん!!」
朝ごはんを終えて白いパーカーに茶色のチェックのフレアスカートに着替えた後、一本の三つ編みに赤いリボンを絡ませた髪型にし、早めに家を出た。
「行ってきまーーす!!」
続く。
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