〜世界で一番嫌いなヤツとの再会〜
あたしに話しかけてきたのは、隣のクラスの
「そんなに驚かなくていいだろう」
「何でここにいるのよ!?誰とも会いたくなくて、わざわざ遠くの学校にしたのに!!」
声を荒げるあたしに、彼はニヤニヤしながら言った。
「そんなの当たり前じゃん!!お前のことが忘れられないからだよ!!なんてったって見た目が俺の好みだからな」
「最っ低!!もう、金輪際話しかけてこないで!!」
踵を返して教室へ戻ろうとした瞬間、片手を掴まれて壁に叩きつけられ、壁ドンされた状態になっていた。力が強くて振り解けない。
「中学時代では全く相手にされなかったからさ、それなりに傷付いてるんだぜ。それに俺ら美男美女だから絶対に釣り合うと思うんだよね」
自分で『美男』なんて……どこまで自分に自信があるのよ。このナルシストが!!掴まれていた腕を振り解いて、はっきり言ってやった。
「それなら答えはあの頃と同じよ!!アンタとは付き合えないし、付き合いたくもないわ!!」
「……相変わらず気が強いな。でも、そこがまたいいんだよな」
ダメだわ……言葉が全く通じない。一体どうしたら諦めてくれるの?頭の中でいろいろ考えていると、驚きの発言をしてきた。
「付き合ってくれないなら、あの頃のようにまた学校に来られなくしてやってもいいんだぞ。それが嫌なら俺と付き合え」
驚きのあまり言葉が出なかった。こんな奴に屈したくなかったけれど、確かに高校では平和に過ごしたいと思った。
「ちょっと一日考えさせて……」
「いいぞ。まあ、答えは出ているようなものだけどな」
含み笑いをして教室へと戻って行った。
※※
教室に戻ると、梶原くんと目が合った。桜木くんと付き合えば告白されなくなるのかな……。
席に戻ると彼に話しかけられた。
「さっき隣のクラスの桜木に迫られていたよね。まさか付き合うの?」
「……梶原くんには関係ないでしょ」
ぶっきらぼうに返してしまった。付き合ってしまえば、そんなことも訊かれたりすることもなくなるのかな……とか考えるようになった。
その日の放課後、梨花ちゃんに話を聴いてもらおうか考えていた。すると彼女の方からやってきた。
「茜ちゃん!!話したいことがあるんだけど放課後空いてる!?」
「うん」
あたしとは正反対にテンションの高い梨花ちゃん。何か良いことでもあったのかなぁ。
※※
いつもの店に行きドリンクを飲む。一口飲んだ後、梨花ちゃんが話を始めた。
「私この度、如月くんとお付き合いをすることになりました!!」
「えっ!!そうなんだーー。おめでとう!!」
笑顔で彼女に拍手を送ると、顔を真っ赤にして照れくさそうにしていた。
「えへへ、ありがとう。この前Rineしていたとき、『大事な話がある』って屋上に呼び出されたの。そしたら、告白されてさ!!もう嬉しすぎて即OKしちゃった!!」
「良かったじゃん。如月くん性格も良いから梨花ちゃんのこと大事にしてくれるよ!!」
「うん!!」
桜木くんのこと相談しようかと思ったけど、この話の後ではとても話しにくかったので辞めた。
※※
翌日の放課後。桜木くんから屋上に呼び出され、昨日の返事を迫られた。
「それで?結局、俺と付き合うことに決めたのか?」
「ええ……付き合うことに決めたわ」
「そうか。賢明だな」
あたしの体を強引に引き寄せ、唇にキスをしてきた。
「ん……っ!!」
「これから、いろいろなことをしような茜」
この選択が間違いだったことに気づくのが、もう少し先だった……。
続く。
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