第131話

そしてついに俺の初休日出勤が決まった

日程は今週の土曜、パートナーはAチームの山口さん

山口さんか…顔を合わせるのなんて朝礼の時くらいだから殆ど喋った事がないんだよな

ただでさえ休日に出勤するってだけでも憂鬱なのに、ほぼ初対面の人がパートナーはキツい…


憂鬱な気分で日々を過ごしていても土曜日は変わらずやってくる

気付けばもう金曜日…

あぁ、明日はついに休日出勤…やだなぁ

そんな事考えていたら朝礼の時、声を掛けられた


山口「明日はよろしくな!」


「あ、山口さん!ッス!お願いします!」


山口さんは27歳独身、霊力量は中級のCランク陰陽師だ

身長は180は越えてそうでガタイが良い、そのせいで勝手に怖そうなイメージを持っていた


山口「そう硬くなるなって!!あー、でもあんま話した事なかったっけ?」


いざこうして改めて見てみると、髪も金髪だし怖いというよりかチャラ…いや、遊んでそうな人だな


山口「明日が初の休日出勤って言ってたな?なら20歳か!」


「あーいや、誕生日まだ来てないんで19ッスよ」


山口「ふーん、まぁいいか。そんなら明日の夜空けとけよ!いい所連れてってやるよ」


「いい所って!?ッス!了解ッス!」


俺の返事を聞くと山口さんはさっさとパトロールへと行ってしまった

意外と面倒見が良くていい人なのか?



――こうして迎えた土曜日


休日出勤は朝礼などないのでいつもより30分遅く出勤出来る


いつも通り制服に着替え少しダラダラしたら8時からパトロールする

結局平日だろうが休日だろうが陰陽師のやることはパトロールなのだ


だが休日出勤は平日と明らかに違う事がある

それは人数、平日は全員で香川全域をパトロールするのに休日は2人だけ


それでも全域をパトロールしなければならない

そう言うとかなり過酷に聞こえるかもしれないが、実際は休日に人が集まる所なんて限られてる

だから陰陽師の身体能力からすればかなり楽なのだ

分かりやすく言うと日帰り香川県横断観光ツアーくらいのノリである


これじゃあ本当に警察とやってる事変わんねぇな…なんなら警察よりパトロール漬けなんじゃないのか?


日々パトロールだけの平和な日々のせいで、俺は分かりやすく油断していた



……と言っても、漫画やアニメじゃないから俺が油断していてもなにか起きるわけでもなく

休日出勤も無事に終わったのだった

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