第126話

私の名前は中村愛菜

ピチピチのJK3年である


私には好きな人がいる

同じ学校のまーくんこと、阿部正晴くんだ

彼のことを好きだと自覚してありとあらゆる手を使いアタックした

自分で言うのはなんだが私は可愛い方である

その私がアタックし続けても一向に靡かないのだ、おかしい


理由となる可能性は何個かあると思っている

1つ目は彼の初恋相手だ

細見先輩…あの人は同性の私から見てもほんとに素敵な人だった

あの人が相手だと私程度では霞んでしまうだろう


2つ目は彼が忙しすぎる事

彼は何かの目標を見付けそこに向かっていつも修行をしている

彼の友達とも遊んでいるのをあまり見かけない


3つ目は言いたくない

彼をいつも見ている私だから分かった事…

でも彼自身は自覚していない

だからまだ私にもチャンスはあるのだ



そんな彼だがある日を境におかしくなってしまった

もちろんそのある日とは「最悪の事件」である

最初の頃は私が癒してやるんだー!!と意気込み色んな事をした

でも全て逆効果だった

半年経った今も彼は壊れたままだ

なんなら日に日にひどくなってる気さえする


初恋は実らないとよく言われるが私の場合もそうだったようだ

私の声は今の彼には届かない

唯一届くとしたら彼女だけだろう

その彼女こそがさっき言わなかった3つ目の理由

2人はきっと両想いで、お似合いだ

それでも彼女の置かれた立場を考えると彼女とどうこうなることは彼にとってマイナスだと思ってしまう


じゃあいっそ私が!と思っていたが私にはもう時間がなくなってしまった

皆は卒業後、陰陽師として活動するのだろうけど私は違う

卒業後はサポート課の道に進む

せっかく陰陽免許を取ったのにもったいないと言う人はいるだろう

実際私は強くなった

でも強くなったからこそ分かる事もある

私の強さは多分この辺りが限界だ


その限界の力を持ってしても校内選抜の初日であっさり負けてしまった

言い訳を言おうと思えば相手が悪かった、手の内を晒し過ぎた、本気を出す前に負けた

なんて色々言えるだろう


でも私の心の中では言い訳より先に

「あぁ、頑張ったな私」

っていう満足感を感じてしまった

結局私の性格も霊装武器も戦いには向いてなかったのだ


私の初恋は少女漫画のように劇的な出来事も悲劇的な出来事も起きずに終わってしまった


というか世の中のほとんどはそんなもんなんだろう

綺麗事だと言われてもいい

私が好きになった彼は笑顔がとても似合う男の子だった


だから横にいるのが私じゃなくても彼には笑顔でいて欲しい


藤原「話って何?」


だから私の初恋は盛大なお節介で締めくくろう

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